新規脳梗塞治療薬ターゲットとしての脳内sodium-glucose transporterの可能性

「1. はじめに」糖は, 生体の重要なエネルギー源であり, 細胞の機能維持や修復等に欠かせない物質である. しかしながら, 糖は正常な濃度を維持することが大事であり, 多すぎても少なすぎても, 体に悪影響を及ぼす. 例えば, 低血糖状態では認知機能の低下や脳神経細胞死が生じることが知られている. 一方で, 糖尿病病態などの高血糖状態においては, 動脈硬化の促進や代謝異常などが生じ, 様々な疾患を併発することから, 高血糖状態の是正は健康維持に必須と考えられる. 同様に, われわれが着目している脳血管疾患においても, 発症後の血糖値制御は重要とされている. 脳血管疾患発症後, 血糖値が高すぎても...

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Veröffentlicht in:YAKUGAKU ZASSHI 2018/07/01, Vol.138(7), pp.955-962
Hauptverfasser: 山﨑, 由衣, 原田, 慎一, 徳山, 尚吾
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」糖は, 生体の重要なエネルギー源であり, 細胞の機能維持や修復等に欠かせない物質である. しかしながら, 糖は正常な濃度を維持することが大事であり, 多すぎても少なすぎても, 体に悪影響を及ぼす. 例えば, 低血糖状態では認知機能の低下や脳神経細胞死が生じることが知られている. 一方で, 糖尿病病態などの高血糖状態においては, 動脈硬化の促進や代謝異常などが生じ, 様々な疾患を併発することから, 高血糖状態の是正は健康維持に必須と考えられる. 同様に, われわれが着目している脳血管疾患においても, 発症後の血糖値制御は重要とされている. 脳血管疾患発症後, 血糖値が高すぎても, 低すぎても神経障害の発現は増悪することが報告されており, 正常血糖値を維持することが重要であると考えられている. われわれの先行研究においても, 一過性局所脳虚血モデルマウスを用いた検討から, 脳虚血ストレス負荷6時間後から空腹時血糖値が上昇し始め, 12時間及び1日後には有意な空腹時血糖値の上昇が生じ, その後の神経障害発現を増悪することを報告している.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.17-00223-4