ジフェンヒドラミンの回転異性体

「はじめに」Figure 1に化学構造式を示したdiphenhydramine(DP), 及びその塩酸塩のdiphenhydramine hydrochloride(DP・HCl)は, 古くから抗ヒスタミン剤(H1受容体拮抗薬)として多用されてきた. 中枢神経を強く抑制して鎮静剤的効果を発揮する副作用も, 抗動揺病薬として乗り物酔いの予防に応用された. また長期にわたる使用歴より明らかになった動態と代謝過程から, 安心して使える睡眠剤としての用途も開発された. 白色結晶又は結晶性粉末のDP・HClは, 購入時結晶の輝度に僅差を示す場合があった. DP・HClの製造原料のDPも, 購入時の淡黄色...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:YAKUGAKU ZASSHI 2018/03/01, Vol.138(3), pp.417-424
Hauptverfasser: 蛯谷, 松枝, 蛯谷, 俊昭
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」Figure 1に化学構造式を示したdiphenhydramine(DP), 及びその塩酸塩のdiphenhydramine hydrochloride(DP・HCl)は, 古くから抗ヒスタミン剤(H1受容体拮抗薬)として多用されてきた. 中枢神経を強く抑制して鎮静剤的効果を発揮する副作用も, 抗動揺病薬として乗り物酔いの予防に応用された. また長期にわたる使用歴より明らかになった動態と代謝過程から, 安心して使える睡眠剤としての用途も開発された. 白色結晶又は結晶性粉末のDP・HClは, 購入時結晶の輝度に僅差を示す場合があった. DP・HClの製造原料のDPも, 購入時の淡黄色透明な消光性の油状物質から, 濃く着色した蛍光性を有する物質に変化する場合があった. 外観の変化の大きさに比べ定量値はほとんど変わらなかったが, 品質管理上一定の色調と透明度が要求された. 定量値に無関係な色調の変化と蛍光の増加は, DPの可逆的な構造変化を筆者らに予想させた.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.17-00175