人工生合成系を活用した擬天然物創製戦略

「1. はじめに」 生き物が行う物質生産システム(いわゆる生合成系)は, 特定の化合物を正確かつ簡便に合成することができるため, 広く有用化合物の生産に用いられている. しかしながら, 生合成系は一般に基質特異性が高く, 特定の化合物しか合成できないという制約も持つ. したがって, 人工構造を有する化合物の生産や, 多種多様な化合物(すなわち, 化合物ライブラリー)の構築を基盤とした新規機能性分子の探索, といった目的に活用するのは技術的に困難である場合が多い. このような背景から, 天然物生合成系を用いた既存の戦略では, 「"天然に存在する"生合成系を活用し, "...

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Veröffentlicht in:YAKUGAKU ZASSHI 2018/01/01, Vol.138(1), pp.55-61
1. Verfasser: 後藤, 佑樹
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」 生き物が行う物質生産システム(いわゆる生合成系)は, 特定の化合物を正確かつ簡便に合成することができるため, 広く有用化合物の生産に用いられている. しかしながら, 生合成系は一般に基質特異性が高く, 特定の化合物しか合成できないという制約も持つ. したがって, 人工構造を有する化合物の生産や, 多種多様な化合物(すなわち, 化合物ライブラリー)の構築を基盤とした新規機能性分子の探索, といった目的に活用するのは技術的に困難である場合が多い. このような背景から, 天然物生合成系を用いた既存の戦略では, 「"天然に存在する"生合成系を活用し, "天然に存在する"有用化合物(及びそれらの類似体)を生産する」ことが主流であった. 一方われわれは, 適切に生合成系を人工改変することで, 上記の生合成系の制限を緩和し, 多様な化合物の合成に応用する研究を展開している.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.17-00186-3