ヒトや野生生物における医薬品,環境化学物質の安全性評価の精度向上にむけて -代謝的活性化,種差,エピジェネティクスの観点から

医薬品や一般化学物質の安全性・毒性は, 基本的に実験動物での試験結果から見積もられているが, その感受性には種差があり, 精度の高い毒性・安全性評価はいまだに難しい. ヒトにおける毒性を見積もるにあたり, ヒト由来細胞を用いたin vitro毒性評価も有用であるが, in vivoでの毒性との乖離を考慮しなければならない. また, 一方で化学物質による大気, 土壌, 水環境中汚染も問題となっている, 「人の健康及び生態系に影響を及ぼすおそれがある化学物質による環境の汚染を防止することを目的とする法律」として化審法があるように, 化学物質の影響を考慮すべき対象はヒトだけではなく, 野生生物にも目...

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Veröffentlicht in:YAKUGAKU ZASSHI 2017, Vol.137(3), pp.247-248
Hauptverfasser: 佐能, 正剛, 木村, 朋紀
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:医薬品や一般化学物質の安全性・毒性は, 基本的に実験動物での試験結果から見積もられているが, その感受性には種差があり, 精度の高い毒性・安全性評価はいまだに難しい. ヒトにおける毒性を見積もるにあたり, ヒト由来細胞を用いたin vitro毒性評価も有用であるが, in vivoでの毒性との乖離を考慮しなければならない. また, 一方で化学物質による大気, 土壌, 水環境中汚染も問題となっている, 「人の健康及び生態系に影響を及ぼすおそれがある化学物質による環境の汚染を防止することを目的とする法律」として化審法があるように, 化学物質の影響を考慮すべき対象はヒトだけではなく, 野生生物にも目を向ける必要がある. しかしながら, 化学物質感受性を規定する要因には様々なものがあり, これらの統合的理解には至っていない. 医薬品や一般化学物質の有用性と毒性のバランスを考慮する上でも, ヒトや野生生物における安全性評価の精度向上は重要な課題となるが, これらの要因がその精度向上の壁となっていると考えられる.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.16-00230-F