分子動力学シミュレーションによる医学・創薬に向けたタンパク質の構造解析

「はじめに」 タンパク質やDNAなどの生体高分子の機能を理解する上で分子シミュレーションの手法は1つの有効な手段となってきた. その適用範囲は広く, 電子状態を考慮した分子モデルによる酵素反応や, 原子集団を粗視化した分子モデルによる分子モーターなどの巨大分子系を取り合うシミュレーションなど広範囲に及ぶ. ここでは特に古典力学を基礎とする全原子分子モデルによるタンパク質のシミュレーションに注目する. ただしタンパク質などの巨大な分子を全原子分子モデルで取り扱う場合, その安定構造探索を効率的に行うのは一般に難しい. その大きな問題の1つは系が複雑であるため, 系の持つ局所的な安定状態が膨大に存...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:YAKUGAKU ZASSHI 2016/01/01, Vol.136(1), pp.113-120
Hauptverfasser: 榮, 慶丈, 西川, 直宏, 塚本, 修一朗, 鈴木, 孝禎, 岡本, 祐幸
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」 タンパク質やDNAなどの生体高分子の機能を理解する上で分子シミュレーションの手法は1つの有効な手段となってきた. その適用範囲は広く, 電子状態を考慮した分子モデルによる酵素反応や, 原子集団を粗視化した分子モデルによる分子モーターなどの巨大分子系を取り合うシミュレーションなど広範囲に及ぶ. ここでは特に古典力学を基礎とする全原子分子モデルによるタンパク質のシミュレーションに注目する. ただしタンパク質などの巨大な分子を全原子分子モデルで取り扱う場合, その安定構造探索を効率的に行うのは一般に難しい. その大きな問題の1つは系が複雑であるため, 系の持つ局所的な安定状態が膨大に存在することである. このため通常行うような定温の分子シミュレーションでは限られた計算資源内に十分な安定構造をサンプルできず, 特にタンパク質の折り畳みシミュレーションなど, 広範囲の自由エネルギー曲面を解析する場合には構造解析が困難である.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.15-00230-4