放射線治療とレドックスイメージング

「1. はじめに」 放射線の生物に対する作用は, 直接作用と間接作用の2種類に大別できる. 直接作用は, 放射線が細胞内を通過する際に, その飛程に偶然存在していたDNAなどの生体分子と相互作用して分子を電離あるいは励起し, そこから生体影響へ及ぶ化学反応が進むことを言う. 一方の間接作用は, 放射線がまず細胞内に豊富に存在する水分子を電離あるいは励起して, そこからフリーラジカル種等の生成を介して化学反応が連鎖的に進んだ末にDNAなどが化学的に損傷し, 最終的に生体影響へ及ぶことを言う. そもそも放射線自体は相互作用する相手を選り好みするわけではなく, 偶然その飛程にある分子と相互作用をする...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:YAKUGAKU ZASSHI 2015/05/01, Vol.135(5), pp.719-724
1. Verfasser: 松本, 謙一郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」 放射線の生物に対する作用は, 直接作用と間接作用の2種類に大別できる. 直接作用は, 放射線が細胞内を通過する際に, その飛程に偶然存在していたDNAなどの生体分子と相互作用して分子を電離あるいは励起し, そこから生体影響へ及ぶ化学反応が進むことを言う. 一方の間接作用は, 放射線がまず細胞内に豊富に存在する水分子を電離あるいは励起して, そこからフリーラジカル種等の生成を介して化学反応が連鎖的に進んだ末にDNAなどが化学的に損傷し, 最終的に生体影響へ及ぶことを言う. そもそも放射線自体は相互作用する相手を選り好みするわけではなく, 偶然その飛程にある分子と相互作用をするにすぎないので, 当然, 細胞内で大きなボリュームを占めている水との相互作用が高頻度で起こる. そのため放射線の生物作用のうち間接作用が70-80%, 直接作用が20-30%程度であると言われている. 直接作用は避けることが困難だが, 間接作用の場合はフリーラジカル反応が標的分子までいたる過程をある程度化学的に制御可能と考えられる.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.14-00235-1