カドミウムに曝露した血管内皮細胞におけるZIP8の発現

「1. はじめに」 環境汚染重金属カドミウムはイタイイタイ病の原因物質としてよく知られている重金属である. 現在でもわれわれは環境中や食品中に含まれているカドミウムに曝露し続けており, 人の健康を保護する立場から近年カドミウムの水質環境基準健康項目の見直しが行われたところである. カドミウムの生体影響を理解する上で, その毒性発現機構の解明は極めて重要であるが, いまだに不明な点が多く存在する. これまでのカドミウム研究は, イタイイタイ病で強い傷害が観察される骨や腎臓が主な研究対象となってきた. しかしながら, 特に低濃度長期曝露を想定した場合, カドミウムは骨や腎臓だけでなくほとんどの器官...

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Veröffentlicht in:YAKUGAKU ZASSHI 2014/07/01, Vol.134(7), pp.805-807
Hauptverfasser: 髙橋, 涼香, 山本, 千夏, 鍜冶, 利幸
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」 環境汚染重金属カドミウムはイタイイタイ病の原因物質としてよく知られている重金属である. 現在でもわれわれは環境中や食品中に含まれているカドミウムに曝露し続けており, 人の健康を保護する立場から近年カドミウムの水質環境基準健康項目の見直しが行われたところである. カドミウムの生体影響を理解する上で, その毒性発現機構の解明は極めて重要であるが, いまだに不明な点が多く存在する. これまでのカドミウム研究は, イタイイタイ病で強い傷害が観察される骨や腎臓が主な研究対象となってきた. しかしながら, 特に低濃度長期曝露を想定した場合, カドミウムは骨や腎臓だけでなくほとんどの器官に対して毒性を発現し得るとされる. 血管はあらゆる組織に普遍的に存在している組織である. カドミウムは血中に侵入したあと血流に乗って標的となる器官に運ばれる. 血管内腔は内皮細胞の単層で被われているため, 器官実質細胞は血管内皮細胞を経ることなくカドミウムに曝露されないことになる.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.14-00017-6