微生物の有する粘膜組織指向性を用いた粘膜ワクチンデリバリー開発への展望

「1. はじめに」ワクチンの開発により天然痘が撲滅されたことからも分かるように, 優れたワクチンを開発することは各種感染症に対する予防法として極めて有効である. 現行のワクチンを見てみると, 昨年認可されたロタウイルスに対する経口ワクチンを除き, 日本国内で使用されているワクチンは注射による接種である. 注射型ワクチンは脾臓・血液を中心とした全身系免疫により体内に侵入してきた病原体や感染した細胞を排除できるが, 多くの病原体の初発感染部位である粘膜面における免疫誘導能には乏しい. すなわち, 注射型ワクチンは病原体が粘膜組織を介して感染した後の疾患の重篤化を防ぐことはできるが, 粘膜組織での感...

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Veröffentlicht in:YAKUGAKU ZASSHI 2014/05/01, Vol.134(5), pp.629-634
Hauptverfasser: 鈴木, 英彦, 近藤, 昌夫, 八木, 清仁, 清野, 宏, 國澤, 純
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」ワクチンの開発により天然痘が撲滅されたことからも分かるように, 優れたワクチンを開発することは各種感染症に対する予防法として極めて有効である. 現行のワクチンを見てみると, 昨年認可されたロタウイルスに対する経口ワクチンを除き, 日本国内で使用されているワクチンは注射による接種である. 注射型ワクチンは脾臓・血液を中心とした全身系免疫により体内に侵入してきた病原体や感染した細胞を排除できるが, 多くの病原体の初発感染部位である粘膜面における免疫誘導能には乏しい. すなわち, 注射型ワクチンは病原体が粘膜組織を介して感染した後の疾患の重篤化を防ぐことはできるが, 粘膜組織での感染そのものは防ぐことができない. 一方, 抗原を"吸う, 飲む"などの方法でワクチン接種を行う粘膜ワクチンは, 粘膜面での防御システムを構築できるということで近年注目されている. 粘膜ワクチンの特徴としては, (1)全身免疫・粘膜免疫の双方に免疫応答を誘導可能であること, (2)注射型ワクチンと異なり噴霧や経口投与など非侵襲性の投与法であること, (3)注射器, 注射針が必要なく, 医療廃棄の問題も少ないこと, などが挙げられる.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.14-00006-3