回帰熱ボレリアの菌体表層抗原タンパク質の同定
「緒言」 回帰熱はボレリア感染によって引き起こされ, アフリカ大陸東部のタンザニアではBorrelia duttoniiが主な起因菌となる. 本菌はベクターであるダニ(Ornithodoros moubata)によって媒介され, ダニのヒトへの刺咬に伴って感染が成立し発症する. 主な臨床症状としては, 悪寒を伴う高熱, 頭痛, 筋肉痛や関節痛などが挙げられ, 発熱と解熱を繰り返す. 1) この症状はボレリアの菌体表層にある主要な抗原タンパク質が宿主の免疫機構から逃れるために抗原変異するためである. すなわち宿主血液中で菌が増殖して発熱, 宿主側の体液性免疫が働き, 菌が血液中から消失すれば解熱...
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Veröffentlicht in: | YAKUGAKU ZASSHI 2013/12/01, Vol.133(12), pp.1417-1423 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「緒言」 回帰熱はボレリア感染によって引き起こされ, アフリカ大陸東部のタンザニアではBorrelia duttoniiが主な起因菌となる. 本菌はベクターであるダニ(Ornithodoros moubata)によって媒介され, ダニのヒトへの刺咬に伴って感染が成立し発症する. 主な臨床症状としては, 悪寒を伴う高熱, 頭痛, 筋肉痛や関節痛などが挙げられ, 発熱と解熱を繰り返す. 1) この症状はボレリアの菌体表層にある主要な抗原タンパク質が宿主の免疫機構から逃れるために抗原変異するためである. すなわち宿主血液中で菌が増殖して発熱, 宿主側の体液性免疫が働き, 菌が血液中から消失すれば解熱するが, ボレリアは菌体表層の抗原タンパク質を変異させて再び増殖するので再度発熱する. この発熱期と無熱期を繰り返しながら症状は次第に軽快していく. 2) 回帰熱ボレリアの抗原変異メカニズムについては, 主に北米に分布するBorrelia hermsiiで明らかにされている. 3, 4) |
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ISSN: | 0031-6903 1347-5231 |
DOI: | 10.1248/yakushi.13-00203 |