緑内障における網膜循環障害機序の解明と新規緑内障治療薬の探索

「1. はじめに」 網膜は10層からなる神経細胞が層構造を形成しており, 外部から与えられた光情報を受容・変換し, 神経のインパルスとして脳に伝えるという重要な役割を演じている. 網膜内層(内境界膜, 神経線維層, 神経節細胞層, 内網状層, 内顆粒層, 外網状層)は網膜循環により, また網膜外層(外顆粒層, 外境界膜, 桿体錐体層, 網膜色素上皮細胞層)は脈絡膜循環により栄養されているが, 1) 網膜血管には, 血液網膜柵という水溶性物質の透過に対するバリアー機構2)や血流の自動調節能が存在する3)など, 脳血管との間に多くの類似性が見い出されており, 網膜血管は中枢血管に分類されている....

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Veröffentlicht in:YAKUGAKU ZASSHI 2013/12/01, Vol.133(12), pp.1343-1350
Hauptverfasser: 森, 麻美, 中原, 努, 倉内, 祐樹, 坂本, 謙司, 石井, 邦雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」 網膜は10層からなる神経細胞が層構造を形成しており, 外部から与えられた光情報を受容・変換し, 神経のインパルスとして脳に伝えるという重要な役割を演じている. 網膜内層(内境界膜, 神経線維層, 神経節細胞層, 内網状層, 内顆粒層, 外網状層)は網膜循環により, また網膜外層(外顆粒層, 外境界膜, 桿体錐体層, 網膜色素上皮細胞層)は脈絡膜循環により栄養されているが, 1) 網膜血管には, 血液網膜柵という水溶性物質の透過に対するバリアー機構2)や血流の自動調節能が存在する3)など, 脳血管との間に多くの類似性が見い出されており, 網膜血管は中枢血管に分類されている. 網膜は単位組織重量当たりの酸素要求量が非常に多いことから, 1, 2) 網膜循環障害による網膜虚血は, 網膜神経障害の原因となり得る. 実際わが国における後天性失明原因の第一位である緑内障も, 網膜循環障害が原因で起こることが報告されている. 4, 5)
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.13-00228-2