経口メチルセルロース液剤のゲル化に及ぼす保存温度の影響

「緒言」メチルセルロースは, セルロースを構成するグルコース残基の水酸基を化学的にメチル化した半合成高分子で, 食品や医薬品の増粘剤, 懸濁化剤及びコーティング剤としても広く用いられている. メチルセルロース水溶液は低温ではゾル状態で, メチルセルロース分子と水和している. しかし, 温度の上昇によって, メチルセルロース分子は段階的に水和水を失い, メチル基置換度の高い疎水性領域で分子間の会合が起こる. その結果, メチルセルロース分子が凝集して, 粘度及び濁度の急激な上昇を経てゲル化する. 1-4) メチルセルロース水溶液のゲル化温度は50-55℃で, 5,6)そのままでは体温でゲル化しな...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:YAKUGAKU ZASSHI 2013/06/01, Vol.133(6), pp.719-725
Hauptverfasser: 下山, 哲哉, 宮城, 由莉子, 伊藤, 邦彦, 小林, 道也
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「緒言」メチルセルロースは, セルロースを構成するグルコース残基の水酸基を化学的にメチル化した半合成高分子で, 食品や医薬品の増粘剤, 懸濁化剤及びコーティング剤としても広く用いられている. メチルセルロース水溶液は低温ではゾル状態で, メチルセルロース分子と水和している. しかし, 温度の上昇によって, メチルセルロース分子は段階的に水和水を失い, メチル基置換度の高い疎水性領域で分子間の会合が起こる. その結果, メチルセルロース分子が凝集して, 粘度及び濁度の急激な上昇を経てゲル化する. 1-4) メチルセルロース水溶液のゲル化温度は50-55℃で, 5,6)そのままでは体温でゲル化しない. しかし, 塩析力の高い無機塩7-9)あるいは糖アルコール10)の添加により, メチルセルロース分子の脱水和が促進され, メチルセルロース水溶液のゲル化温度を体温(37℃)以下まで低下させることも可能である.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.13-00004