抗マラリア薬の開発を目指した構造生物学的研究

[1.はじめに] マラリア(malaria)は, ハマダラ蚊の媒介で人体に侵入したマラリア原虫によって高熱, 悪寒, 震えなどの症状が引き起こされる寄生原虫感染症であり, エイズ(AIDS), 結核(tuberculosis; TB)とともに世界三大感染症の1つである. マラリアは, 次のような流れで発症し, 伝播する. (i)マラリア原虫に感染した雌のハマダラ蚊がヒトから吸血する際にマラリア原虫がヒト体内に注入され, 原虫がヒトの肝臓に到達する. (ii)1週間から1ヵ月程度の間, 原虫は肝細胞で増殖する. (iii)原虫が肝細胞を破裂させて赤血球へ侵入し, 増殖する. 増殖した原虫は, 他...

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Veröffentlicht in:YAKUGAKU ZASSHI 2013, Vol.133(5), pp.527-537
Hauptverfasser: 田中, 信忠, 梅田, 知伸, 日下部, 吉男, 中西, 雅之, 北出, 幸夫, 中村, 和郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:[1.はじめに] マラリア(malaria)は, ハマダラ蚊の媒介で人体に侵入したマラリア原虫によって高熱, 悪寒, 震えなどの症状が引き起こされる寄生原虫感染症であり, エイズ(AIDS), 結核(tuberculosis; TB)とともに世界三大感染症の1つである. マラリアは, 次のような流れで発症し, 伝播する. (i)マラリア原虫に感染した雌のハマダラ蚊がヒトから吸血する際にマラリア原虫がヒト体内に注入され, 原虫がヒトの肝臓に到達する. (ii)1週間から1ヵ月程度の間, 原虫は肝細胞で増殖する. (iii)原虫が肝細胞を破裂させて赤血球へ侵入し, 増殖する. 増殖した原虫は, 他の赤血球に侵入する. 原虫による赤血球の破壊・侵入の過程で, 感染者を発熱させる. (iv)雌のハマダラ蚊がこの感染者から吸血すると, 原虫は蚊の胃壁で増殖し, 唾液腺へ移動する. (v)この蚊が, 別のヒトを刺し, 原虫を接種する.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.13-00001-3