医療環境空気中に残留する抗がん剤及び臭気成分を光触媒によって分解する試み

「緒言」現在, 医療従事者の職業的抗がん剤被曝が国内外で報告され, その低減が必要とされている. 1,2)抗がん剤の人体的被曝は, 皮膚からの吸収のほか, 気化した抗がん剤が気道や口腔粘膜を経由して起こることも推定されている. 特に, シクロホスファミドなど一部の抗がん剤は, 常温でも気化することが報告されており, これら気化した抗がん剤が被曝に関与していることが推測されている. 3,4)しかし, これら気化する抗がん剤に対しては, 生物学的安全キャビネットや閉鎖式調製器具を使用して, 作業環境中への放出を低減する技術はあるものの, 一度作業環境中で気化・拡散した抗がん剤の低減方法は, 室内換...

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Veröffentlicht in:YAKUGAKU ZASSHI 2012/10/01, Vol.132(10), pp.1189-1195
Hauptverfasser: 佐藤, 淳也, 工藤, 賢三, 平野, 高広, 桑島, 孝幸, 山田, 孫平, 雉鼻, 一郎, 佐藤, 一彦, 高橋, 勝雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「緒言」現在, 医療従事者の職業的抗がん剤被曝が国内外で報告され, その低減が必要とされている. 1,2)抗がん剤の人体的被曝は, 皮膚からの吸収のほか, 気化した抗がん剤が気道や口腔粘膜を経由して起こることも推定されている. 特に, シクロホスファミドなど一部の抗がん剤は, 常温でも気化することが報告されており, これら気化した抗がん剤が被曝に関与していることが推測されている. 3,4)しかし, これら気化する抗がん剤に対しては, 生物学的安全キャビネットや閉鎖式調製器具を使用して, 作業環境中への放出を低減する技術はあるものの, 一度作業環境中で気化・拡散した抗がん剤の低減方法は, 室内換気以外にないのが現状である. そこで, 筆者らは空気清浄機での使用を想定し, 光触媒を用いて作業環境中に気化した抗がん剤を分解できないか検討した. 光触媒とは, 人体に無害な近紫外線(波長域400nm以下)の光エネルギーから活性酸素を産生する二酸化チタン等半導体である(Fig. 1).
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.12-00173