Therapeutic Drug Monitoring (TDM)に基づく抗菌薬の適正使用

わが国の感染症治療の現場で, 体内動態(pharmacokinetics, PK)と薬力学(pharmacodynamics, PD)の関係, いわゆるPK-PD理論に基づく抗菌薬の適正使用のあり方が注目され始めたのは, 今世紀に入ってからのことである. しかし, その礎ともいうべき薬物血中濃度に基づく患者個別化投与設計, すなわち治療薬物モニタリング(therapeutic drug monitoring, TDM)が国内の医療現場に導入されたのは, 今を去ること実に30年も前に遡る. 例えば, ゲンタマイシン, トブラマイシンあるいはアミカシンといったアミノグリコシド系薬はTDM草創期から...

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Veröffentlicht in:YAKUGAKU ZASSHI 2011/10/01, Vol.131(10), pp.1407-1413
1. Verfasser: 森田, 邦彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:わが国の感染症治療の現場で, 体内動態(pharmacokinetics, PK)と薬力学(pharmacodynamics, PD)の関係, いわゆるPK-PD理論に基づく抗菌薬の適正使用のあり方が注目され始めたのは, 今世紀に入ってからのことである. しかし, その礎ともいうべき薬物血中濃度に基づく患者個別化投与設計, すなわち治療薬物モニタリング(therapeutic drug monitoring, TDM)が国内の医療現場に導入されたのは, 今を去ること実に30年も前に遡る. 例えば, ゲンタマイシン, トブラマイシンあるいはアミカシンといったアミノグリコシド系薬はTDM草創期からその対象薬剤に設定され, 見方によれば最も古くからPK-PD理論に立脚した適正使用が推進されてきた感染症治療薬と位置づけられる. これら主として緑膿菌による重症感染症に用いられる薬剤に加え, 90年代以降はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus, MRSA)感染症治療薬であるバンコマイシン, テイコプラニン及びアルベカシンが, さらに近年では深在性真菌症治療薬であるボリコナゾールが, TDM対象薬として順次追加され, 今日に至っている.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.131.1407