ハイブリッドリポソームを用いたアルツハイマー病治療に関する基礎研究

『緒言』 アルツハイマー病(Alzheimer's disease:AD)は, 痴呆を主な症状とし, 脳の萎縮・アミロイドの沈着による老人斑・神経細胞死がみられる世界的に最も多い進行性の神経変性疾患である. 現在, 国内における患者数は200万人を超えており, 社会の高齢化に伴って, その数は増加していくと予想されている. ADには, 常染色体優勢遺伝の家族性AD(Familial AD:FAD)と環境的要因を背景に持った弧発性ADに大別される. 両方の発症率を比較すると, FADは全体の数%に過ぎず, 大多数が弧発性ADである. しかしながら, 弧発性ADの根本的な原因はいまだ明ら...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:YAKUGAKU ZASSHI 2011, Vol.131(5), pp.775-782
Hauptverfasser: 座古, 恵子, 坂口, 磨姫, 古水, 雄志, 市原, 英明, 後藤, 浩一, 松本, 陽子, 上岡, 龍一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:『緒言』 アルツハイマー病(Alzheimer's disease:AD)は, 痴呆を主な症状とし, 脳の萎縮・アミロイドの沈着による老人斑・神経細胞死がみられる世界的に最も多い進行性の神経変性疾患である. 現在, 国内における患者数は200万人を超えており, 社会の高齢化に伴って, その数は増加していくと予想されている. ADには, 常染色体優勢遺伝の家族性AD(Familial AD:FAD)と環境的要因を背景に持った弧発性ADに大別される. 両方の発症率を比較すると, FADは全体の数%に過ぎず, 大多数が弧発性ADである. しかしながら, 弧発性ADの根本的な原因はいまだ明らかにされていない. AD発症の原因として広く研究されているのは, ペプチドの一種であるβアミロイド(Aβ)の蓄積に注目したアミロイドカスケード仮説に関する研究である1). Aβは, アミロイド前駆体タンパク質(APP)が, セクレターゼによって切断されて産生される, 38から43のアミノ酸からなるペプチドである.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.131.775