脳虚血による神経細胞死における恒常的活性型カルシニューリンの機能的役割

「1. はじめに」脳は, エネルギーの貯蔵がほとんどないにもかかわらず極めて活発な代謝を行っている臓器で, 多くの血流を要求し, 全体の1/5-1/4の酸素とブドウ糖を消費する.1,2) 一方, エネルギー供給の遮断に対して極めて脆弱である. 脳の虚血部位では短時間に再灌流が起これば脳機能の回復が期待されるが, 一定時間以上の虚血が続くと不可逆的神経細胞障害が生じる.3) また, 不可逆的変化に陥った虚血中心部位の周辺には虚血後も一時的に神経細胞が生存しているペナンブラと呼ばれる部分が存在するが, 一定時間後に血流が回復しても一部はその後細胞死に至ることが知られており, 遅発性神経細胞死と呼ば...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:YAKUGAKU ZASSHI 2011/01/01, Vol.131(1), pp.13-20
Hauptverfasser: 塩田, 倫史, 福永, 浩司
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」脳は, エネルギーの貯蔵がほとんどないにもかかわらず極めて活発な代謝を行っている臓器で, 多くの血流を要求し, 全体の1/5-1/4の酸素とブドウ糖を消費する.1,2) 一方, エネルギー供給の遮断に対して極めて脆弱である. 脳の虚血部位では短時間に再灌流が起これば脳機能の回復が期待されるが, 一定時間以上の虚血が続くと不可逆的神経細胞障害が生じる.3) また, 不可逆的変化に陥った虚血中心部位の周辺には虚血後も一時的に神経細胞が生存しているペナンブラと呼ばれる部分が存在するが, 一定時間後に血流が回復しても一部はその後細胞死に至ることが知られており, 遅発性神経細胞死と呼ばれている.4) 脳虚血による神経細胞死の中で, ATPの枯渇によるネクローシスとは異なる遅発性の選択的神経細胞死の機序を説明する仮説として, 現在最も重視されている仮説は「グルタミン酸・カルシウム仮説」である.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.131.13