血管内皮のカルシウム・シグナリングを介した血流感知機構

「1. はじめに」血管内皮細胞は血圧の調節, 血液の凝固・線溶, タンパクの選択的透過など, 血管機能の制御に中心的な役割を果たしている. 近年, こうした内皮細胞の働きがホルモン, サイトカイン, ニューロトランスミッターといった化学的刺激だけでなく, 血流に起因する流れずり応力(shear stress)などの力学的刺激によっても調節を受けることが明らかになってきた. Shear stressに対する内皮細胞応答は循環系の機能の恒常性の維持だけでなく, 血流依存性の現象として知られている血管新生, 血管のリモデリング, 粥状動脈硬化の発症などにも深く係わっていることから, 盛んに研究が行わ...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:YAKUGAKU ZASSHI 2010/11/01, Vol.130(11), pp.1407-1411
Hauptverfasser: 山本, 希美子, 安藤, 譲二
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」血管内皮細胞は血圧の調節, 血液の凝固・線溶, タンパクの選択的透過など, 血管機能の制御に中心的な役割を果たしている. 近年, こうした内皮細胞の働きがホルモン, サイトカイン, ニューロトランスミッターといった化学的刺激だけでなく, 血流に起因する流れずり応力(shear stress)などの力学的刺激によっても調節を受けることが明らかになってきた. Shear stressに対する内皮細胞応答は循環系の機能の恒常性の維持だけでなく, 血流依存性の現象として知られている血管新生, 血管のリモデリング, 粥状動脈硬化の発症などにも深く係わっていることから, 盛んに研究が行われてきた. これまでわれわれは内皮細胞がshear stressを感知して情報を細胞内部に伝達することで様々な細胞機能の変化を起こすこと, また, その機能に関連した遺伝子の発現も変化することを明らかにしてきた.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.130.1407