妊娠初期胎盤由来の不死化ヒト胎盤絨毛外性栄養膜細胞(TCL-2)の内分泌機能及びペルオキシソームについて

「緒言」ヒト胎盤絨毛細胞は, 細胞性栄養膜細胞, 合胞体栄養膜細胞, 絨毛外性栄養膜細胞の3種類からなり, 妊娠の発展, 維持に重要な役割を果たしている. 絨毛外性栄養膜細胞には絨毛性栄養膜細胞とは異なった特異な生物学的特性が認められる. すなわち絨毛外性栄養膜細胞には悪性腫瘍を思わせる旺盛な細胞増殖と細胞浸潤がみられ, 血管内への浸潤は悪性腫瘍の転移の過程に似ている. こうした現象にはがんの増殖, 浸潤, 転移に係わるがん遺伝子, がん抑制遺伝子などの関与が推察されている. 絨毛外性栄養膜細胞は脱落膜中に散在するため母体細胞との識別が容易ではない. また, 絨毛外性栄養膜細胞を得るためには妊...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:YAKUGAKU ZASSHI 2009, Vol.129 (11), p.1423-1430
Hauptverfasser: 橋本フミ惠a, 小野明日香a, 松岡菊美b, 横田貞記c, 関博之b, 竹田省b, 林秀徳a
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「緒言」ヒト胎盤絨毛細胞は, 細胞性栄養膜細胞, 合胞体栄養膜細胞, 絨毛外性栄養膜細胞の3種類からなり, 妊娠の発展, 維持に重要な役割を果たしている. 絨毛外性栄養膜細胞には絨毛性栄養膜細胞とは異なった特異な生物学的特性が認められる. すなわち絨毛外性栄養膜細胞には悪性腫瘍を思わせる旺盛な細胞増殖と細胞浸潤がみられ, 血管内への浸潤は悪性腫瘍の転移の過程に似ている. こうした現象にはがんの増殖, 浸潤, 転移に係わるがん遺伝子, がん抑制遺伝子などの関与が推察されている. 絨毛外性栄養膜細胞は脱落膜中に散在するため母体細胞との識別が容易ではない. また, 絨毛外性栄養膜細胞を得るためには妊娠中絶女性から提供された栄養膜細胞では不十分であるなどの制約があり, 絨毛外性栄養膜細胞の研究報告は絨毛性栄養膜細胞に比べ極めて少ないのが現状である. 着床現象, 胎盤形成, 発育機構には種々の生理活性物質やホルモンが関係している.
ISSN:0031-6903