標的指向能を有するバイオコンジュゲート化アデノウイルスベクターの開発

「1. はじめに」近年の分子生物学研究の進展により, 疾患関連遺伝子の時空間的発現パターンが明らかとなるとともに, 医薬品シーズとなり得る治療候補遺伝子も続々と同定されている. これら遺伝情報の集積を背景に, がん・エイズなどいまだ決定的治療法のない難治性疾患をも治療可能な夢の治療法として, 遺伝子そのものを「薬」とみなした遺伝子治療が注目されている. 特に, 世界的に死亡原因の上位を占めるがんに対するがん遺伝子治療は精力的に試みられており, 外科的療法・化学療法・放射線療法などの従来法では治療困難な症例に対して治療成果を挙げるなど, 次世代型治療法としてさらなる発展が期待されている.1-3)...

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Veröffentlicht in:YAKUGAKU ZASSHI 2008/12/01, Vol.128(12), pp.1733-1742
Hauptverfasser: 衛藤, 佑介, 吉岡, 靖雄, 水口, 裕之, 向, 洋平, 岡田, 直貴, 中川, 晋作
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」近年の分子生物学研究の進展により, 疾患関連遺伝子の時空間的発現パターンが明らかとなるとともに, 医薬品シーズとなり得る治療候補遺伝子も続々と同定されている. これら遺伝情報の集積を背景に, がん・エイズなどいまだ決定的治療法のない難治性疾患をも治療可能な夢の治療法として, 遺伝子そのものを「薬」とみなした遺伝子治療が注目されている. 特に, 世界的に死亡原因の上位を占めるがんに対するがん遺伝子治療は精力的に試みられており, 外科的療法・化学療法・放射線療法などの従来法では治療困難な症例に対して治療成果を挙げるなど, 次世代型治療法としてさらなる発展が期待されている.1-3) その一方で, 現在の遺伝子導入技術(ベクター)の限界もクローズアップされてきた. 今後遺伝子治療が実用化に至り, 真の治療法として確立されるかは, 治療コンセプトの合理性に加えて, 遺伝子治療の根幹をなすベクター開発にかかっているといっても過言ではない.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.128.1733