生物が作り出す自己組織化材料:バイオサーファクタントの多彩な機能とその応用

「1. はじめに」 生体中には各種の両親媒性物質が存在し, 様々な界面で, 物質, エネルギー, 情報の交換に関与し, 生体の秩序形成に大きな役割を果たしている. 例えば, 細胞膜ではリン脂質が自己組織化によって二分子膜を形成し, その膜中に物質認識(結合)や, 物質輸送(透過)に係わるタンパク質や糖鎖が機能的に配置することで, 細胞内外での情報伝達を可能としている. 二分子膜(ベシクル)を形成する最も一般的な生体素材はリン脂質, 特にホスファチジルコリンであるが, 最近, リン脂質以外にも, 単独でベシクル形成を示す天然あるいは合成の糖脂質が多数報告されている. 1) 例えば, 天然の糖脂質...

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Veröffentlicht in:YAKUGAKU ZASSHI 2008/05/01, Vol.128(5), pp.695-706
1. Verfasser: 北本, 大
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」 生体中には各種の両親媒性物質が存在し, 様々な界面で, 物質, エネルギー, 情報の交換に関与し, 生体の秩序形成に大きな役割を果たしている. 例えば, 細胞膜ではリン脂質が自己組織化によって二分子膜を形成し, その膜中に物質認識(結合)や, 物質輸送(透過)に係わるタンパク質や糖鎖が機能的に配置することで, 細胞内外での情報伝達を可能としている. 二分子膜(ベシクル)を形成する最も一般的な生体素材はリン脂質, 特にホスファチジルコリンであるが, 最近, リン脂質以外にも, 単独でベシクル形成を示す天然あるいは合成の糖脂質が多数報告されている. 1) 例えば, 天然の糖脂質としては, 古細菌や好熱性細菌の細胞膜に存在するエーテル型脂質(グリセロールにイソプレノイドアルコールがエーテル結合したもの)2)や, 植物の葉緑体のチラコイド膜に存在するジガラクトシル-ジアシルグリセロール3)が挙げられる.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.128.695