次世代白金抗がん薬開発の現状
「1. はじめに」 シスプラチンは単純な構造の低分子白金錯体であるが, 切れ味が鋭く, 最も有効性の高い抗がん薬の1つである. 米国において偶然に発見され, 1, 2) 1978年にFDA, そして日本においては1984年に厚生省の承認を受けて以来25-30年にわたって, いくつかのがんに対する第一選択薬の地位を保っていることは医薬品としての生命の長い抗がん薬の中にあっても驚異的である. しかしながら, 開発当初よりその厳しい副作用(腎毒性, 悪心, 嘔吐, 難聴など)が知られている. シスプラチンの実用化に際して, 重金属特有の腎毒性を軽減するために患者に大量の水分を投与する水分負荷法が開発...
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Veröffentlicht in: | YAKUGAKU ZASSHI 2008/03/01, Vol.128(3), pp.307-316 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「1. はじめに」 シスプラチンは単純な構造の低分子白金錯体であるが, 切れ味が鋭く, 最も有効性の高い抗がん薬の1つである. 米国において偶然に発見され, 1, 2) 1978年にFDA, そして日本においては1984年に厚生省の承認を受けて以来25-30年にわたって, いくつかのがんに対する第一選択薬の地位を保っていることは医薬品としての生命の長い抗がん薬の中にあっても驚異的である. しかしながら, 開発当初よりその厳しい副作用(腎毒性, 悪心, 嘔吐, 難聴など)が知られている. シスプラチンの実用化に際して, 重金属特有の腎毒性を軽減するために患者に大量の水分を投与する水分負荷法が開発されたことが大きく貢献している. また, 悪心, 嘔吐に対してはセロトニン5-HT3受容体遮断薬が開発され, 患者の苦痛はかなり軽減されてきた. 現在でも, 腎毒性はシスプラチンの用量制限因子であり, また, シスプラチンは耐性がんを誘発し易いことが臨床の場で問題となっている. |
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ISSN: | 0031-6903 1347-5231 |
DOI: | 10.1248/yakushi.128.307 |