同種造血幹細胞移植患者におけるニューキノロン系抗菌薬による内因性感染の予防効果: 骨髄移植,末梢血幹細胞移植,臍帯血移植の比較

緒言 ニューキノロン系抗菌薬,抗真菌薬,及び抗ウイルス薬は造血幹細胞移植における種々の感染症予防として一般的に投与されている.1-5) 造血幹細胞移植に伴う好中球減少期には,移植前処置の結果,粘膜傷害を受けた消化管を介する内因性感染症が問題であり,特にPseudomonas aeruginosaに代表されるグラム陰性菌による敗血症は致死的である.5)予防投与の是非は分かれるところではあるが,ニューキノロン系抗菌薬によるグラム陰性菌の腸内殺菌目的の投与は,日本の多施設で実施されている現状がある.3・4)日本造血細胞移植学会のガイドラインは,現時点ではその有効性を肯定,あるいは否定するデータが不十...

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Veröffentlicht in:YAKUGAKU ZASSHI 2007/08/01, Vol.127(8), pp.1301-1307
Hauptverfasser: 河添, 仁, 滝口, 祥令, 田中, 裕章, 二宮, 昌樹, 福岡, 憲泰, 大西, 宏明, 石田, 俊彦, 芳地, 一
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:緒言 ニューキノロン系抗菌薬,抗真菌薬,及び抗ウイルス薬は造血幹細胞移植における種々の感染症予防として一般的に投与されている.1-5) 造血幹細胞移植に伴う好中球減少期には,移植前処置の結果,粘膜傷害を受けた消化管を介する内因性感染症が問題であり,特にPseudomonas aeruginosaに代表されるグラム陰性菌による敗血症は致死的である.5)予防投与の是非は分かれるところではあるが,ニューキノロン系抗菌薬によるグラム陰性菌の腸内殺菌目的の投与は,日本の多施設で実施されている現状がある.3・4)日本造血細胞移植学会のガイドラインは,現時点ではその有効性を肯定,あるいは否定するデータが不十分であり,予防投与による耐性菌の危険性を十分考慮し,各施設,個々の患者で慎重に決定するように示している.1)抗菌薬の予防投与の結果,菌の耐性化を危惧する報告6-8)は少なくない上,これまでの臨床試験では抗菌薬の予防投与は細菌感染症の減少に繋がるが,生存への寄与は否定されていた.8,9)しかしながら,これらの臨床試験が蓄積され,近年のmeta-analysis,systematic reviewは上記とは逆の結論で,抗菌薬の予防投与は感染関連死を減少させ,生存率を有意に向上させることを示し議論を呼んでいる.10,11)
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.127.1301