サイトカインによるメタロチオネイン誘導とメタロチオネインによるサイトカイン発現の修飾

「はじめに」多機能生体防御タンパク質メタロチオネイン(MT)は重金属のみならずいくつかのサイトカインで誘導される. われわれは, このような調節を受けるMTが, これまで知られていない新たな作用を有することを明らかにしてきた. 本総説では, サイトカイン応答性MT誘導とMTによるサイトカイン発現修飾の視点から, MTが多くの局面でストレス応答に係わり, 防御因子として機能することについて議論したい. 「急性期応答としてのMT誘導インターロイキン‐6による誘導」MTを誘導する因子としては, カドミウムなど重金属がよく知られているが, リポ多糖(LPS), テルペン油などの起炎剤, 有機溶剤など種...

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Veröffentlicht in:YAKUGAKU ZASSHI 2007/04/01, Vol.127(4), pp.685-694
Hauptverfasser: 伊藤, 徳夫, 木村, 朋紀
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」多機能生体防御タンパク質メタロチオネイン(MT)は重金属のみならずいくつかのサイトカインで誘導される. われわれは, このような調節を受けるMTが, これまで知られていない新たな作用を有することを明らかにしてきた. 本総説では, サイトカイン応答性MT誘導とMTによるサイトカイン発現修飾の視点から, MTが多くの局面でストレス応答に係わり, 防御因子として機能することについて議論したい. 「急性期応答としてのMT誘導インターロイキン‐6による誘導」MTを誘導する因子としては, カドミウムなど重金属がよく知られているが, リポ多糖(LPS), テルペン油などの起炎剤, 有機溶剤など種々の化学物質が肝臓においてMTを誘導することが, 1980年代には知られていた. 1-3)しかしながら, その誘導機構は長い間不明であった. われわれは, MTの誘導パターンと急性期タンパク質の誘導パターンが酷似していること, 及び, 起炎剤刺激後に認められる肝臓MT誘導に先立って, 血中インターロイキン-6(IL-6)レベルの上昇が認められ, IL-6中和抗体が急性期タンパク質の誘導のみならずMT誘導をも阻害することを見出した. 4-6)われわれの知見を支持する結果は, IL-6欠損マウスを用いる系でLeeらにより得られている.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.127.685