長崎大学医学部・歯学部附属病院における整腸剤適正使用への取り組み

「緒言」感染症の治療に抗菌剤が広く使用されるが, 抗菌剤の投与により腸内細菌叢が乱れ, しばしば下痢, 軟便といった副作用や, ときとして偽膜性大腸炎や出血性大腸炎といった重篤な疾患を引き起こすことがある. 1)この抗菌剤投与時の腸内細菌叢の乱れを正常化する目的で, 耐性乳酸菌製剤が併用される. 2)耐性乳酸菌製剤に含まれる細菌は, 染色体上に多種の抗菌剤に対する耐性を獲得しているが, 現在上市されている耐性乳酸菌製剤は発売後10数年経過しており, その間に開発された多数の抗菌剤に対する薬剤感受性は明らかではない. 実際, 現在臨床上使用可能な耐性乳酸菌製剤は, フルオロキノロン系, グリコペ...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:YAKUGAKU ZASSHI 2006/11/01, Vol.126(11), pp.1155-1161
Hauptverfasser: 江頭, かの子, 北原, 隆志, 柏木, 香, 樋口, 則英, 中嶋, 幹郎, 一川, 暢宏, 佐々木, 均
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「緒言」感染症の治療に抗菌剤が広く使用されるが, 抗菌剤の投与により腸内細菌叢が乱れ, しばしば下痢, 軟便といった副作用や, ときとして偽膜性大腸炎や出血性大腸炎といった重篤な疾患を引き起こすことがある. 1)この抗菌剤投与時の腸内細菌叢の乱れを正常化する目的で, 耐性乳酸菌製剤が併用される. 2)耐性乳酸菌製剤に含まれる細菌は, 染色体上に多種の抗菌剤に対する耐性を獲得しているが, 現在上市されている耐性乳酸菌製剤は発売後10数年経過しており, その間に開発された多数の抗菌剤に対する薬剤感受性は明らかではない. 実際, 現在臨床上使用可能な耐性乳酸菌製剤は, フルオロキノロン系, グリコペプチド系抗菌剤などに対して, 耐性を示さないことが報告されており, 3)添付文書上においても, その効能効果の中で併用可能な抗菌剤の中に記載されていない. 耐性乳酸菌製剤自身が併用される抗菌剤に大きく影響される場合, 下痢の発症予防を目的とした併用効果は期待できない. したがって耐性乳酸菌製剤の適正使用のためには, それ自身に対する各種抗菌剤の影響を考慮することが不可欠である.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.126.1155