芍薬甘草湯と小柴胡湯の連用が血清カリウム値に及ぼす影響

緒言 甘草を含有する漢方薬には副作用として, 高血圧と低カリウム血症を呈する偽アルドステロン症が知られている. 1)本症は, 甘草成分のグリチルリチン(GL)が副腎皮質ホルモンのコルチゾールをコルチゾンに代謝不活性化する11β-hydroxysteroid dehydrogenaseを阻害することにより, 細胞内で過剰となったコルチゾールがミネラルコルチコイド受容体に結合して発症する. 1)その危険因子として, 女性や高齢の患者に起こり易いことが指摘されているが, 1)詳細は明らかでない. 芍薬甘草湯は甘草の含有量が最も多い漢方薬であり(6g/1日用量), 偽アルドステロン症の発症頻度が他の甘...

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Veröffentlicht in:YAKUGAKU ZASSHI 2006/10/01, Vol.126(10), pp.973-978
Hauptverfasser: 本間, 真人, 石原, 三也, 千, 文, 幸田, 幸直
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:緒言 甘草を含有する漢方薬には副作用として, 高血圧と低カリウム血症を呈する偽アルドステロン症が知られている. 1)本症は, 甘草成分のグリチルリチン(GL)が副腎皮質ホルモンのコルチゾールをコルチゾンに代謝不活性化する11β-hydroxysteroid dehydrogenaseを阻害することにより, 細胞内で過剰となったコルチゾールがミネラルコルチコイド受容体に結合して発症する. 1)その危険因子として, 女性や高齢の患者に起こり易いことが指摘されているが, 1)詳細は明らかでない. 芍薬甘草湯は甘草の含有量が最も多い漢方薬であり(6g/1日用量), 偽アルドステロン症の発症頻度が他の甘草製剤と比較して高いことが知られている. 本剤は, 「こむらがえり」などの筋肉の痙攣に対して頓用で用いられる方剤であるが, 近年, 抗癌剤の副作用でみられる「しびれ」などの末梢神経障害に対しても汎用されるようになり, 2)長期連用されるケースが増加している. このような使用法で問題となるのが, 本剤の副作用である偽アルドステロン症の発症に及ぼす投与期間や併用薬の影響である.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.126.973