シンポジウムII 7.地域住民における生活習慣病予防と健康増進への取り組み -久山町研究

【目的】久山町は昭和36年から九州大学医学部第二内科(当時)との成人病共同研究町となり, 久山町保健行政は, 九州大学の久山研究とともに歩んできた. 保健師の久山町住民における生活習慣病予防と健康増進の取り組みをまとめた. 【結果】清原の研究による心血管病の発症率の時代的変化の検討で1961年から1966年を第1集団(前期), 1974年から1979年を第2集団(中期), 1988年から1993年を第3集団(後期)として, それぞれその後5年間行った予後調査をみてみる. 第1集団から第2集団にかけて脳卒中が大幅に減っている. このことは高血圧の取り組みによると述べている. 第3集団では, 高血...

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Veröffentlicht in:日本循環器病予防学会誌 2006, Vol.41 (1), p.22-22
1. Verfasser: 角森輝美
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【目的】久山町は昭和36年から九州大学医学部第二内科(当時)との成人病共同研究町となり, 久山町保健行政は, 九州大学の久山研究とともに歩んできた. 保健師の久山町住民における生活習慣病予防と健康増進の取り組みをまとめた. 【結果】清原の研究による心血管病の発症率の時代的変化の検討で1961年から1966年を第1集団(前期), 1974年から1979年を第2集団(中期), 1988年から1993年を第3集団(後期)として, それぞれその後5年間行った予後調査をみてみる. 第1集団から第2集団にかけて脳卒中が大幅に減っている. このことは高血圧の取り組みによると述べている. 第3集団では, 高血圧者の血圧レベルが低下傾向を示しながらも脳卒中の発症率の低下が鈍化し虚血性心疾患が減少していない. このことの大きな原因のひとつとして肥満, 高脂血症, 耐糖能異常など代謝性疾患の増加を上げている. 保健師活動として研究開始当時第1集団に対しては, 健診の重要性, 受診の継続性を周知し地域全体の偏りのないデーター蓄積のための活動を展開した. その健診データーの結果脳卒中の原因が高血圧であり, 降圧薬治療, 減塩, 減酒, 運動指導により脳卒中予防ができることが裏付けられた. このことで「高血圧を追放する会」の結成, 各種団体(老人クラブ, 婦人会)を活用して知識の普及啓発に力をいれた. また成人期だけでなく乳幼児期からの健康援助活動のため九大小児科との連携により母子保健の充実や小児成人病予防対策を図った. 九大歯学部予防歯科との協力で虫歯0本を目標に, 乳幼児から学童まで一貫した歯科保健活動を開始し, 7年後にはWHO目標の『12歳で虫歯3本以下』を達成した. 併せて食生活の改善を行うため, 中村学園大学の参加により地域の食生活の実態の調査指導を展開し, 第3集団で判明した代謝性疾患の予防のため各種病態別健康教育を開始した. このように久山町では九大第2内科の研究データーの裏づけによる保健活動をおこない健康増進事業を展開してきた. 現在ではさらに高齢者の介護の問題, 障害者の問題と幅広い地域保健活動がもとめられる中, 認知症および日常生活動作の実態調査結果をもとに地域保健活動を展開している.
ISSN:1346-6267