ビタミンC代謝と植物の環境ストレス順応

「はじめに」ビタミンC (アスコルビン酸) は一般にもっとも認知されている栄養素のひとつである. その優れた抗酸化性やコラーゲン合成への必要性から, 健康や美肌を目的として積極的にアスコルビン酸を摂取する人も少なくない. 食事での主な摂取源となる植物は, 高濃度にアスコルビン酸を蓄積する. 特に光合成の盛んな葉組織においては, アスコルビン酸濃度は数十mMに達し, 植物に降り注ぐ太陽光の強度が高まるにつれてさらに増加する. 光照射下では光合成が活性酸素種 (ROS) の主要な発生源となるため, アスコルビン酸の高蓄積は酸化ストレスからの保護に重要であると考えられる. 植物のアスコルビン酸濃度は...

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Veröffentlicht in:ビタミン 2021-09, Vol.95 (9), p.405-412
1. Verfasser: 丸田隆典
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」ビタミンC (アスコルビン酸) は一般にもっとも認知されている栄養素のひとつである. その優れた抗酸化性やコラーゲン合成への必要性から, 健康や美肌を目的として積極的にアスコルビン酸を摂取する人も少なくない. 食事での主な摂取源となる植物は, 高濃度にアスコルビン酸を蓄積する. 特に光合成の盛んな葉組織においては, アスコルビン酸濃度は数十mMに達し, 植物に降り注ぐ太陽光の強度が高まるにつれてさらに増加する. 光照射下では光合成が活性酸素種 (ROS) の主要な発生源となるため, アスコルビン酸の高蓄積は酸化ストレスからの保護に重要であると考えられる. 植物のアスコルビン酸濃度は他の主要代謝産物と比較しても圧倒的であり, もうひとつの代表的な水溶性抗酸化剤であるグルタチオンの濃度よりも一桁高い.
ISSN:0006-386X