All-transレチノイン酸は腸管ナトリウム依存性リン酸トランスポーター遺伝子 (Npt2b) の転写を負に制御する

リンは骨, 核酸, リン脂質やATP等の構成要素として, ヒトが生きていく上で必須のミネラルである. 血中リン濃度は腸管での吸収や腎臓での排泄/再吸収によって厳密に制御されており, 主に腸管ではNa依存性リン酸トランスポーターNpt2b, 腎臓では同じ遺伝子ファミリーのNpt2aとNpt2cがその中心的な役割を担っている. 近年, 新たな国民病として認識されつつある慢性腎臓病では, 腎臓でのリン調節機構の破綻による高リン血症が血管石灰化を起因とする心血管疾患発症リスクを高めるため, 血中リン濃度の管理は重要である. 慢性腎臓病では既述のように腎臓でのリン調節が期待できないことから腸管のNpt2...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:ビタミン 2020-11, Vol.94 (11), p.545-548
Hauptverfasser: 増田真志, 山本浩範, 竹井悠一郎, 中橋乙起, 足立雄一郎, 大西康太, 大南博和, 奥村山中仙示, 阪上浩, 宮崎淳, 武田英二, 竹谷豊
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:リンは骨, 核酸, リン脂質やATP等の構成要素として, ヒトが生きていく上で必須のミネラルである. 血中リン濃度は腸管での吸収や腎臓での排泄/再吸収によって厳密に制御されており, 主に腸管ではNa依存性リン酸トランスポーターNpt2b, 腎臓では同じ遺伝子ファミリーのNpt2aとNpt2cがその中心的な役割を担っている. 近年, 新たな国民病として認識されつつある慢性腎臓病では, 腎臓でのリン調節機構の破綻による高リン血症が血管石灰化を起因とする心血管疾患発症リスクを高めるため, 血中リン濃度の管理は重要である. 慢性腎臓病では既述のように腎臓でのリン調節が期待できないことから腸管のNpt2bが治療の標的となるが, Npt2bの調節機構は不明な点が多い. 以前, ビタミンAの活性本体であるall-transレチノイン酸(ATRA)が腎臓のNpt2aおよびNpt2c発現を転写調節により正に制御することを我々は明らかにした.
ISSN:0006-386X