ユーグレナのワックスエステル発酵の発見と新規チアミン酵素に関する研究

ユーグレナ(Euglena gracilis)は, 葉緑体を持つ真核単細胞生物であり, 適応能力が高く多様な環境下で生育することができる. また, 独特な代謝系や酵素を発達させており, 生育因子としてチアミンとコバラミンを要求するので, 生理学や生化学のみならず酵素学やビタミン学の研究対象として興味深い生物である. 私は, このようなユーグレナの嫌気代謝について研究を行い, ワックスエステルを最終生成物とする嫌気下エネルギー獲得系を見いだし, ワックスエステル発酵と命名した. さらに関与する代謝系について検討し, 特に新規なチアミン酵素であるNADP+ - ピルビン酸デヒドロゲナーゼについて詳...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:ビタミン 2019-04, Vol.93 (4), p.143-145
1. Verfasser: 乾博
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:ユーグレナ(Euglena gracilis)は, 葉緑体を持つ真核単細胞生物であり, 適応能力が高く多様な環境下で生育することができる. また, 独特な代謝系や酵素を発達させており, 生育因子としてチアミンとコバラミンを要求するので, 生理学や生化学のみならず酵素学やビタミン学の研究対象として興味深い生物である. 私は, このようなユーグレナの嫌気代謝について研究を行い, ワックスエステルを最終生成物とする嫌気下エネルギー獲得系を見いだし, ワックスエステル発酵と命名した. さらに関与する代謝系について検討し, 特に新規なチアミン酵素であるNADP+ - ピルビン酸デヒドロゲナーゼについて詳細を明らかにした. 「1. ワックスエステル発酵の発見」酸素濃度が低下し嫌気状態になると, ユーグレナは貯蔵多糖であるパラミロン(β-1,3-グルカン)を分解してワックスエステルを合成し, この過程でATPを獲得している.
ISSN:0006-386X