DNA二重鎖切断に対するアスコルビン酸の保護作用 : 混雑条件下での一分子計測による定量的評価

「1. 緒言」細胞内に存在するゲノムDNA分子は紫外線や活性酸素種などの様々な酸化ストレスにより多様な損傷を受けている. DNA損傷には, DNA塩基の化学構造の変化やDNA鎖切断などがあるが, 中でもDNA二重鎖切断は, 染色体異常の原因となり細胞死やがんに繋がる最も重篤な損傷の一つである. アスコルビン酸には, 活性酸素種を消去する抗酸化作用を示すことが知られており, これがゲノムDNAの二重鎖切断にどのような保護作用を示すのかを定量的に調べることは有意義であると思われる. しかしながら, 数十kbp越えるサイズのゲノムDNAについて, 低頻度で起こるDNA二重鎖切断を定量的に評価すること...

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Veröffentlicht in:ビタミン 2018-06, Vol.92 (5/6), p.257-262
Hauptverfasser: 臼井萌絵, 馬越, 吉川祐子, 吉川研一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. 緒言」細胞内に存在するゲノムDNA分子は紫外線や活性酸素種などの様々な酸化ストレスにより多様な損傷を受けている. DNA損傷には, DNA塩基の化学構造の変化やDNA鎖切断などがあるが, 中でもDNA二重鎖切断は, 染色体異常の原因となり細胞死やがんに繋がる最も重篤な損傷の一つである. アスコルビン酸には, 活性酸素種を消去する抗酸化作用を示すことが知られており, これがゲノムDNAの二重鎖切断にどのような保護作用を示すのかを定量的に調べることは有意義であると思われる. しかしながら, 数十kbp越えるサイズのゲノムDNAについて, 低頻度で起こるDNA二重鎖切断を定量的に評価することは, これまでは困難であった. 本研究者らは, 数十kbpを越えるサイズのDNAは, 蛍光顕微鏡を用いると, 溶液中で個々のDNAのコンフォーメーションを直接観察することが可能であることに注目して, 一分子観察により, DNA二重鎖切断を定量的に評価することのできる実験手法の開発を行ってきている.
ISSN:0006-386X