フィチン酸はラットの脂質合成系遺伝子発現の低下を介して 脂肪肝を抑制し,腸内細菌叢を変動させる

フィチン酸(ミオイノシトールヘキサリン酸)は, 無機質吸収を抑制することから栄養学的には抗栄養素因子と考えられているが, 穀類, 豆類, 油糧種子類などの主要な植物性食品に数%含有され, 食品添加物として褐変防止剤やpH調整剤などとして使用されている. 著者らはフィチン酸の母骨格が抗脂肪肝作用を有するビタミン様物質のミオイノシトールであることに着目し, フィチン酸が抗脂肪肝作用を示すことを報告してきた. さらに, フィチン酸が無機質と結合して食物繊維やオリゴ糖と同様に未消化物になることや大腸癌抑制作用を有するという報告から, フィチン酸摂取が高脂肪食摂取ラットの盲腸内有機酸含量や腸管バリア機能...

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Veröffentlicht in:ビタミン 2017, Vol.91(8), pp.497-498
Hauptverfasser: 関田, 彩夏, 岡崎, 由佳子, 片山, 徹之
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:フィチン酸(ミオイノシトールヘキサリン酸)は, 無機質吸収を抑制することから栄養学的には抗栄養素因子と考えられているが, 穀類, 豆類, 油糧種子類などの主要な植物性食品に数%含有され, 食品添加物として褐変防止剤やpH調整剤などとして使用されている. 著者らはフィチン酸の母骨格が抗脂肪肝作用を有するビタミン様物質のミオイノシトールであることに着目し, フィチン酸が抗脂肪肝作用を示すことを報告してきた. さらに, フィチン酸が無機質と結合して食物繊維やオリゴ糖と同様に未消化物になることや大腸癌抑制作用を有するという報告から, フィチン酸摂取が高脂肪食摂取ラットの盲腸内有機酸含量や腸管バリア機能の指標である糞中ムチン量を増加させ, 腸内細菌叢を修飾するなど, 腸内環境を改善する可能性を示した. 本研究では, 脂肪肝を生成する高ショ糖食を摂取させたラットに対して, 食餌フィチン酸が肝臓の脂肪酸合成関連酵素の遺伝子発現と腸内細菌叢に及ぼす影響について検討を加えた.
ISSN:0006-386X
2424-080X
DOI:10.20632/vso.91.8_497