アノマリーな集合としての植物特化代謝

「はじめに: UGT酵素について」 植物の特化代謝物は二次代謝産物とも呼ばれ, 細胞の営みに必須の一次代謝物(アミノ酸, 糖, 核酸など)から派生して生合成される. 色素としてのなじみの深いフラボノイドや, 香りや苦み成分でもあるテルペノイドと称されるものは特化代謝物の代表である. これらは花粉媒介者や種子飛散者の誘因や, 外敵に対する防御応答に利用され, 生成する植物の適応度を高めていると考えられている. 特化代謝物は系統特異的に特徴的な構造をしており, 従ってその植物系統の適応進化の歴史を反映していると考えられる. 例えば多くの陸上植物で見られるフラボノイドは, 基本骨格構造は共通している...

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Veröffentlicht in:ビタミン 2016-10, Vol.90 (10), p.485-490
1. Verfasser: 小埜栄一郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに: UGT酵素について」 植物の特化代謝物は二次代謝産物とも呼ばれ, 細胞の営みに必須の一次代謝物(アミノ酸, 糖, 核酸など)から派生して生合成される. 色素としてのなじみの深いフラボノイドや, 香りや苦み成分でもあるテルペノイドと称されるものは特化代謝物の代表である. これらは花粉媒介者や種子飛散者の誘因や, 外敵に対する防御応答に利用され, 生成する植物の適応度を高めていると考えられている. 特化代謝物は系統特異的に特徴的な構造をしており, 従ってその植物系統の適応進化の歴史を反映していると考えられる. 例えば多くの陸上植物で見られるフラボノイドは, 基本骨格構造は共通しているが, 末端の修飾(多くは水酸化, メチル化, 配糖体化, アシル化)が独自であり, その結果として固有の構造が形成される. これは骨格形成までの代謝経路は種分化前の共通祖先で出現し, 種分化後に独自の代謝が形作られてきたことを示唆する.
ISSN:0006-386X