骨の健康とビタミンE:α-トコフェロールは本当に骨量を低下させるのか

「1. はじめに」 骨粗鬆症は, 骨密度の低下と骨質の劣化に起因した骨強度の低下を伴い, 骨折の最大の危険因子である. 骨粗鬆症によって引き起こされる骨折は, 死亡率を高めるだけでなく, 寝たきり状態や慢性腰痛の原因となり, 生活動作を障害し, 介護の必要性を増加させる原因となる. 骨粗鬆症を予防し, 骨の健康を維持することは, 個人レベルのquality of life (QOL)の向上だけでなく, 介護を含め高齢化社会における深刻な社会問題の解決に繋がる重要な課題である. フリーラジカルは, 骨芽細胞の分化を抑制し, 一方では破骨細胞を活性化することによって骨吸収を促進する. したがって,...

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Veröffentlicht in:ビタミン 2016, Vol.90(10), pp.469-483
Hauptverfasser: 笠井, 俊二, 福澤, 健治
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」 骨粗鬆症は, 骨密度の低下と骨質の劣化に起因した骨強度の低下を伴い, 骨折の最大の危険因子である. 骨粗鬆症によって引き起こされる骨折は, 死亡率を高めるだけでなく, 寝たきり状態や慢性腰痛の原因となり, 生活動作を障害し, 介護の必要性を増加させる原因となる. 骨粗鬆症を予防し, 骨の健康を維持することは, 個人レベルのquality of life (QOL)の向上だけでなく, 介護を含め高齢化社会における深刻な社会問題の解決に繋がる重要な課題である. フリーラジカルは, 骨芽細胞の分化を抑制し, 一方では破骨細胞を活性化することによって骨吸収を促進する. したがって, 酸化ストレスが骨形成と骨吸収の不均衡を惹起する原因のひとつであると推察される. 例えば, 男性(平均年齢55.7歳)および女性(平均年齢55.9歳)での研究から, 酸化ストレスのバイオマーカーである尿中8-iso-prostaglandin F2αレベルが骨密度と負に相関することが報告されている.
ISSN:0006-386X
2424-080X
DOI:10.20632/vso.90.10_469