26 種類のナチュラルチーズのビタミンB12 含有量の測定とビタミンB12 化合物の同定

「諸言」ビタミンB12 (B12)は真紅の水溶性化合物であり, ビタミンの中で最も分子量が大きく複雑な構造を有している. B12は主に動物性食品に含まれており, 魚貝類が主要なB12供給源であるが, それに続き乳製品や畜肉も良い供給源である. 自然界にはB12の下方配位子の塩基が5,6-ジメチルベンズイミダゾールと異なる様々なB12化合物が存在し, 特に塩基がアデニンに置換したシュードB12が食用藍藻や貝類に含まれていることが報告されている. また, チーズの熟成に関与する乳酸菌やプロピオン酸菌などの類縁種にはシュードB12の生合成能を有するものが存在する. そこで, 本研究では我が国で市販されている26種類のナチュラルチーズのB12含量を測定すると共に液体クロマトグラム質量分析によりB12化合物を同定した. 「実験方法」「1. 試料」主な試薬として, シアノコバラミン(Sigma社製), B12定量用基礎培地(日水製薬社製), シリカゲル60TLCアルミニウムシート(Merck社製)を用いた.