β-クリプトキサンチンと生活習慣病リスク : 最近の疫学的知見から(<特集>第67回大会シンポジウム「ビタミン・バイオファクターの男女間での栄養学」)

「1. はじめに」 β-クリプトキサンチンは日本のウンシュウミカン(以下, ミカン)に特徴的に多く含まれているカロテノイド色素の一種である. 我々はこれまでの研究から, ミカンを食べる習慣を有する日本人の血中β-クリプトキサンチン値は欧米人と比べて顕著に高いことを見いだしてきた. 現在, 国内主要ミカン産地である静岡県三ヶ日町の住民1,073名を対象にした栄養疫学調査(三ヶ日町研究)を継続的に行っているが, これまでに血中β-クリプトキサンチン濃度と動脈硬化や肝疾患, メタボリックシンドローム等の様々な生活習慣病リスクとに有意な負の関連があることを見いだしてきた. 本稿では, β-クリプトキサ...

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Veröffentlicht in:ビタミン 2016/01/25, Vol.90(1), pp.9-18
1. Verfasser: 杉浦, 実
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」 β-クリプトキサンチンは日本のウンシュウミカン(以下, ミカン)に特徴的に多く含まれているカロテノイド色素の一種である. 我々はこれまでの研究から, ミカンを食べる習慣を有する日本人の血中β-クリプトキサンチン値は欧米人と比べて顕著に高いことを見いだしてきた. 現在, 国内主要ミカン産地である静岡県三ヶ日町の住民1,073名を対象にした栄養疫学調査(三ヶ日町研究)を継続的に行っているが, これまでに血中β-クリプトキサンチン濃度と動脈硬化や肝疾患, メタボリックシンドローム等の様々な生活習慣病リスクとに有意な負の関連があることを見いだしてきた. 本稿では, β-クリプトキサンチンに関する最近の疫学研究の知見について紹介する. 「2. ヒト血中に存在する主要なカロテノイド」カロテノイドは果物・野菜に多く含まれている天然色素成分で, これまでにおよそ750種類が単離同定されている.
ISSN:0006-386X
2424-080X
DOI:10.20632/vso.90.1_9