乳がん細胞におけるグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼの低酸素応答機構の解析(研究論文紹介)

グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)は古典的な解糖系酵素であり, NADを補酵素としグリセルアルデヒド3-リン酸から1,3-ビスホスホグリセリン酸への酸化的リン酸化を触媒する酵素である. GAPDHは解糖系酵素としての機能以外に, アンドロゲン受容体活性の調節や, 細胞伸展の調節などの様々な機能を持つ多機能タンパク質であることが近年明らかとなっている1)-3). GAPDHはこれまでハウスキーピング遺伝子として考えられてきたが, 低酸素刺激によるGAPDHの発現亢進が培養細胞を用いた実験により証明されている4). しかし, この低酸素刺激による発現亢進には組織特異性があ...

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Veröffentlicht in:ビタミン 2012/02/25, Vol.86(2), pp.84-86
Hauptverfasser: 東村, 泰希, 山地, 亮一, 原田, 直樹, 中野, 長久, 乾, 博
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)は古典的な解糖系酵素であり, NADを補酵素としグリセルアルデヒド3-リン酸から1,3-ビスホスホグリセリン酸への酸化的リン酸化を触媒する酵素である. GAPDHは解糖系酵素としての機能以外に, アンドロゲン受容体活性の調節や, 細胞伸展の調節などの様々な機能を持つ多機能タンパク質であることが近年明らかとなっている1)-3). GAPDHはこれまでハウスキーピング遺伝子として考えられてきたが, 低酸素刺激によるGAPDHの発現亢進が培養細胞を用いた実験により証明されている4). しかし, この低酸素刺激による発現亢進には組織特異性があり, 前立腺がんや血管内皮細胞では低酸素に応答して亢進するのに対し, 大腸がんや肺がんにおいてはそのような現象は観察されない5)-7). 腫瘍細胞は正常細胞に比べて増殖速度が速いため, 腫瘍内での血管新生は腫瘍細胞の増殖に追いつけない.
ISSN:0006-386X
2424-080X
DOI:10.20632/vso.86.2_84