5.塩酸チアミン多形の各種問題点と今後の方針(第422回研究協議会研究発表要旨,ビタミンB研究委員会)

塩酸チアミンの多形については古く著者が名古屋大学堀田教授の発表に発言して以来1), 数人の発表があり, その後も製造時またはその保存時などに現れる多形についてX線, 赤外線等で検討した結果を報告している2)3)4). 当初の塩酸チアミンは斜消光する枝状晶で合成品等は終始変わらず偏光顕微鏡分析で正確に定量され注射薬または錠剤等に用いられて脚気の治療とその全滅に貢献してきた. 多形についてもX線, 赤外線等で検討されているが, 当初のビタミンB1はその後も引き続き製造され用いられている. 著者の偏光顕微鏡分析では多形との識別が極めて簡単鮮明で薬局方の試験法として発表することを考えている. 昭和20...

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Veröffentlicht in:ビタミン 2011/02/25, Vol.85(2), pp.86
1. Verfasser: 渡邉, 厚
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:塩酸チアミンの多形については古く著者が名古屋大学堀田教授の発表に発言して以来1), 数人の発表があり, その後も製造時またはその保存時などに現れる多形についてX線, 赤外線等で検討した結果を報告している2)3)4). 当初の塩酸チアミンは斜消光する枝状晶で合成品等は終始変わらず偏光顕微鏡分析で正確に定量され注射薬または錠剤等に用いられて脚気の治療とその全滅に貢献してきた. 多形についてもX線, 赤外線等で検討されているが, 当初のビタミンB1はその後も引き続き製造され用いられている. 著者の偏光顕微鏡分析では多形との識別が極めて簡単鮮明で薬局方の試験法として発表することを考えている. 昭和20年の終戦時, 私は武田研究所で国民の栄養回復と強化食品等の問題を考えていた. 当委員会が発足したのもこの年で強化食品の事など重視されて議論もでていた. 私はこの少し後アミノ酸は製剤を中心に栄養剤を造っていた大五栄養に移籍し, 混合栄養剤にビタミンB1等を添加し, ポリタンの名で製品をつくり, 協力を得て販売を増加した. 塩酸チアミンのビタミンとしての重要性, 水溶液の安定性等については私自身の研究があったのでこの製品の10年間は今後の宇宙食等への発展にも役立つものと思う. 文献 1)渡邉厚, 神尾英雄:武田研究所年報11, 13(1952) 2)渡邉厚, 神沢得之助, 奥戸浩, 薬誌, 77, 7(1959) 3)渡邉厚, 仲町秀雄, 薬誌96, 1236-1240(1976) 4)S.Tasaki, Y.Wada, H.Nakamachi, A.Watanabe, Chem.PHarma.Bull. 27, 2751-2759(1979)
ISSN:0006-386X
2424-080X
DOI:10.20632/vso.85.2_86_1