1. FGF23変異体は腎不全ラットの病態進展を抑制するが腎性骨異栄養症を増悪する(pp.99-105)

リンは腎障害を進展させる因子のひとつである. リン制限あるいはリン吸着剤により腎障害の進展が抑制されることが報告されている. FGF23は腎でのリン再吸収および1α水酸化酵素活性を制御する液性因子である. われわれはFGF23のリン利尿作用に着目し, FGF23が腎障害の進展を抑制するか否かを腎不全ラットを用いて検討した. そのために変異FGF23発現ベクターを片腎摘出Thy1腎不全ラットに投与した. 片腎摘出Thy1ラットは片腎摘出術を施したWistarラットに抗ラットCD90(Thy1.1)モノクローナル抗体を静注して作製した. 10ugの変異FGF23あるいは空ベクターを含む発現ベクター...

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Veröffentlicht in:ビタミン 2009, Vol.83 (7), p.410-410
Hauptverfasser: 草野健一郎, 斎藤一史, 瀬川博子, 福島直, 宮本賢一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:リンは腎障害を進展させる因子のひとつである. リン制限あるいはリン吸着剤により腎障害の進展が抑制されることが報告されている. FGF23は腎でのリン再吸収および1α水酸化酵素活性を制御する液性因子である. われわれはFGF23のリン利尿作用に着目し, FGF23が腎障害の進展を抑制するか否かを腎不全ラットを用いて検討した. そのために変異FGF23発現ベクターを片腎摘出Thy1腎不全ラットに投与した. 片腎摘出Thy1ラットは片腎摘出術を施したWistarラットに抗ラットCD90(Thy1.1)モノクローナル抗体を静注して作製した. 10ugの変異FGF23あるいは空ベクターを含む発現ベクター溶液を2週毎に一度13週間静注した. 腎機能を生化学的または病理組織学的に評価した. 変異FGF23は血清クレアチニンおよび尿素窒素を有意に低下させた. 空ベクターを投与した病態対照群では糸球体硬化が認められ, FGF23を投与した群では改善されていた. しかしながら変異FGF23は血清1,25(OH)2D3およびカルシウムを低下させたが, さらに血清PTHの著明な上昇に伴う高回転型腎性骨異栄養症を引き起こしていた. これらの結果はFGF23の有するリン利尿作用および1,25(OH)2D3低下作用に基づくものと考えられる. すなわち変異FGF23は血清リンを低下させることにより腎障害の進展を抑制し, 1,25(OH)2D3を低下させることにより腎性骨異栄養症を増悪するものと考えられた.
ISSN:0006-386X