含フッ素アスコルビン酸誘導体のファージ不活化作用

「緒言」L-アスコルビン酸（AsA）が広範な種類のファージを不活化することについて報告してきた1)-9). しかし, AsAのファージ不活化作用は, 大きいものではなかった. そこで, AsA関連化合物を対象として, より大きいファージ不活化作用を有するものを探し始めた. 最初に, AsAのCの2位, 3位, 5位, 6位に置換基を導入したAsA誘導体を合成して研究した. 2-O-octanoyl-AsAは, M2ファージに対してAsAの3倍大きい作用を示した10). 2, 6-di-O-benzoyl-AsAは, T5ファージにAsAの10倍大きい作用を示した10). 次に, アルカリ金属のリチウムを含有するAsA誘導体を合成して研究した. Lithium-2-O-octadecyl-AsAは, 多種のファージに対してAsAの8～25倍大きい作用を示した11). さらに, アスコルビン酸-2価鉄錯体およびD-アラボアスコルビン酸-2価鉄錯体を調製して研究した.