産褥期におけるPIVKAの動態
「緒言」 静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism:VTE)は, 本邦では比較的稀な病態とされていたが, 近年, 生活習慣の欧米化も相まって, その発症数は急速に増加の一途をたどっている. 産科領域においても同様, その発症数は年々増加の一途をたどっており, 全分娩数の0.03%, 約3~4000分娩に1件の割合でVTEが発症するとされる. 特に, 帝王切開術後における発症率は高く, 約2500分娩に1件と経膣分娩(約12,500件に1件)の約5倍を呈し, また, 産褥早期に発症が集中するという特徴を有する1). 妊娠現象は生理的に凝固能亢進状態にあるため, 妊娠そのものが...
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Veröffentlicht in: | ビタミン 2008/12/25, Vol.82(12), pp.637-643 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「緒言」 静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism:VTE)は, 本邦では比較的稀な病態とされていたが, 近年, 生活習慣の欧米化も相まって, その発症数は急速に増加の一途をたどっている. 産科領域においても同様, その発症数は年々増加の一途をたどっており, 全分娩数の0.03%, 約3~4000分娩に1件の割合でVTEが発症するとされる. 特に, 帝王切開術後における発症率は高く, 約2500分娩に1件と経膣分娩(約12,500件に1件)の約5倍を呈し, また, 産褥早期に発症が集中するという特徴を有する1). 妊娠現象は生理的に凝固能亢進状態にあるため, 妊娠そのものが易血栓傾向を有しており, これに他の因子, 特に静脈血栓の形成に深く関与する血液凝固系の異常等が加わってVTEの発症に結びつくと考えられる2). 極めて高い発症率(0.5~7/1000分娩)を呈する欧米では3)-5), Factor V Leidenやprothrombin G20210Aなどの分子異常の関与が知られているが6)7), 本邦においてはこのような保因者の報告はなく8)9), 凝固制御系因子であるプロテインC(PC), プロテインS(PS), アンチトロンビン(AT)などの分子異常の頻度が高い傾向にある9)10). |
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ISSN: | 0006-386X 2424-080X |
DOI: | 10.20632/vso.82.12_637 |