5. ラットにおけるコレステロール吸収に及ぼす遊離型およびエステル型植物ステロールの比較(pp.210-214)

食事性遊離型植物ステロール, 植物ステロールオレイン酸エステルおよび植物ステロールステアリン酸エステルのコレステロール吸収及び代謝への影響をコレステロール摂取ラットで比較した. 遊離型あるいはオレイン酸エステルを摂取したラットでは, コントロール群に比較し糞便への中性ステロイド(コレステロール+コプロスタノール)の排泄量が有意に増加した. ステアリン酸エステルでは, 糞便への中性ステロイドの排泄増加は認められなかった. 肝臓へのコレステロールの蓄積は, 遊離型あるいはオレイン酸エステルを摂取したラットで有意に低かった. ステアリン酸エステルは肝臓コレステロールを低下させなかった. 糞便への中性ステロイド排泄および肝臓へのコレステロール蓄積には遊離型とオレイン酸エステル間で有意な影響は認められなかった. 胃内投与した放射性コレステロールのリンパへの吸収は, 遊離型およびオレイン酸エステルでコントロール群よりも低く, 遊離型がオレイン酸エステルよりも有効性は高かった. これらの結果から, ラットにおいて遊離型植物ステロールはエステル型植物ステロールよりもコレステロール吸収阻害作用が潜在的に強いことが示されたが, 摂食試験では有意差が出るほどの効果の違いはないことが示唆された.