4. 活性型ビタミンDは心血管系調節ホルモンか

ビタミンD(D)と腎・循環器系疾患との関連が注目されている. 腎不全透析患者ではD活性化障害が顕著であり, 活性型D製剤投与による心機能1)や心肥大2)の改善, 更には活性型D製剤使用患者では非使用群より心血管系死亡リスクが有意に低い3)というデータがある. また, 慢性腎臓病患者で尿タンパクを減少させるとの報告4)もある. 活性型Dを非生理的な高濃度で用いると, 血管平滑筋細胞を石灰化させる5)が, 生理的濃度ではむしろ血管平滑筋細胞増殖抑制作用6)やマクロファージのスカベンジャー受容体発現抑制作用7)を示し, 動脈硬化抑制に作用しうる. D受容体をノックアウトしたマウスでは, レニン発現が...

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Veröffentlicht in:ビタミン 2008, Vol.82 (3), p.202-202
Hauptverfasser: 西沢良記, 庄司哲雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:ビタミンD(D)と腎・循環器系疾患との関連が注目されている. 腎不全透析患者ではD活性化障害が顕著であり, 活性型D製剤投与による心機能1)や心肥大2)の改善, 更には活性型D製剤使用患者では非使用群より心血管系死亡リスクが有意に低い3)というデータがある. また, 慢性腎臓病患者で尿タンパクを減少させるとの報告4)もある. 活性型Dを非生理的な高濃度で用いると, 血管平滑筋細胞を石灰化させる5)が, 生理的濃度ではむしろ血管平滑筋細胞増殖抑制作用6)やマクロファージのスカベンジャー受容体発現抑制作用7)を示し, 動脈硬化抑制に作用しうる. D受容体をノックアウトしたマウスでは, レニン発現が増加し, アンジオテンシンIIを増加させ, 心筋線維の肥大, 心重量の増加が生じる8). 同様の現象が1α水酸化酵素のノックアウトマウスでも認められる9).
ISSN:0006-386X