ビタミンEは抗酸化物か否か

ビタミンE（以下E）の生理作用, 役割については依然として不明の課題が多く残されている1)2). 最近, Eの重要な生理作用は抗酸化ではないとする考えと, そうではなくやはり抗酸化作用であるという, 真っ向から対立する主張を展開する2件の総説が報告されている. 抗酸化作用を主張するのはTraber, Atkinsonら3)であり, 否定しているのはAzzi4)である. Eが抗酸化作用を発現することは, その発見以来数多くの報告があり, 長い間, 広く受け入れられてきた. 一方, 抗酸化作用以外の, いわゆるbeyond antioxidantあるいはnon-antioxidant functionといわれるのは, Azziらが1990年頃から主張しているものである. Azziらは最初, 「Eには抗酸化作用に加えて, それ以外の作用もある」と述べていたが, 時がたつにつれて次第に論点が変わり, 「抗酸化以外の作用がより重要である」となり, 最近では, 「抗酸化作用はなく, Eの作用は抗酸化とは関係がない」とまで言うようになった.