潰瘍性大腸炎患者における食事摂取状況と好中球リン脂質脂肪酸組成, 脂溶性ビタミン濃度と抗酸化能について(pp.153-159)

栄養は潰瘍性大腸炎の発症および治療に重要な役割を果すと考えられる. 食事因子と潰瘍性大腸炎の発症に関する研究がいくつかあるが, 食事摂取と潰瘍性大腸炎の再燃との関連を調査した研究は少ない. 我々の研究目的は食事摂取と潰瘍性大腸炎患者の抗酸化能の関連を調査し, 潰瘍性大腸炎の治療における食事効果を明らかにすることである. 岡山大学医学部・歯学部附属病院に通院中の潰瘍性大腸炎患者29名(男性7名, 女性22名)の食事摂取内容, 血漿および好中球のリン脂質脂肪酸組成, 脂溶性ビタミン濃度と抗酸化能(酸素ラジカル吸収能)について分析した. 潰瘍性大腸炎患者の総脂肪酸摂取量とリノール酸の摂取量は, 年齢...

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Hauptverfasser: 川上祐子, 岡田裕之, 村上泰子, 川上貴代, 上田由喜子, 国井大輔, 坂本八千代, 白鳥康史, 沖田美佐子
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:栄養は潰瘍性大腸炎の発症および治療に重要な役割を果すと考えられる. 食事因子と潰瘍性大腸炎の発症に関する研究がいくつかあるが, 食事摂取と潰瘍性大腸炎の再燃との関連を調査した研究は少ない. 我々の研究目的は食事摂取と潰瘍性大腸炎患者の抗酸化能の関連を調査し, 潰瘍性大腸炎の治療における食事効果を明らかにすることである. 岡山大学医学部・歯学部附属病院に通院中の潰瘍性大腸炎患者29名(男性7名, 女性22名)の食事摂取内容, 血漿および好中球のリン脂質脂肪酸組成, 脂溶性ビタミン濃度と抗酸化能(酸素ラジカル吸収能)について分析した. 潰瘍性大腸炎患者の総脂肪酸摂取量とリノール酸の摂取量は, 年齢と性を一致させた対照群に比較して有意に低く, タンパク質と炭水化物の摂取量は有意の高値であった. 潰瘍性大腸炎患者の好中球リン脂質脂肪酸組成では, リノール酸とアラキドン酸比率の有意の高値と, エイコサペンタエン酸比率の有意の低値が観察された. 対照群に比し, 血清レチノールとβ-カロテン濃度の有意の低値, α-トコフェロールの低下傾向とともに, 血清の抗酸化能の有意の低下を認めた. 潰瘍性大腸炎患者において, 血清の抗酸化能とレチノール(r=0.567, P=0.0031), α-トコフェロール(r=0.560, p=0.0036)β-カロテン濃度(r=0.440, p=0.0279)の間に有意の正相関が認められた. リノール酸摂取を抑え, エイコサペンタエン酸および抗酸化ビタミンを積極的に摂取することが, 潰瘍性大腸炎患者の栄養管理上有用であることが示唆された.
ISSN:0006-386X