γ-トコフェロールに関する最近の話題

ビタミンE(E)に関する研究は依然として盛んに進められている1). よく知られているように, Eには8種類の同族体がある. 芳香環のメチル置換基の数, 位置のちがいによりα, β, γ, およびδ体があり, それぞれに2位が飽和のフィチル側鎖のトコフェロール(T)と, 側鎖に3個の二重結合を持つトコトリエノール(T3)があり, 合計8種となっている. 以前から, ヒトが摂取する食物にはγTの方が多いのにも拘らず, ヒトがαTを選択的に利用しているのはなぜか, 特別な理由があるのか, 多く議論されてきた. ヒトがどのようにしてαTを選り分けて取り込んでいるのか, そのメカニズム, α-tocopherol transfer protein(α-TTP)の作用が明らかになった現在でも, その訳は依然として謎のままであると言えよう. 近年, γTあるいはT3に特有の特異的な作用, 役割があることを示唆する知見が報告されている.