3.アスパラギン含有食品系におけるアクリルアミド生成反応に対するアスコルビン酸の影響(第115回会議研究発表要旨,ビタミンC研究委員会)
【目的】アスパラギン(Asn)とグルコース(Glc)との反応によりアクリルアミド(AAm)が生成することが報告されている1).AAmは多量に摂取するとがんを誘発する可能性があることが指摘されており,その生成抑制・阻止に向けて世界中で研究が進められている.このAAmの生成にはアスコルビン酸(AsA)が関与する可能性も指摘されているが,その詳細は不明である.Asnは多くの食品中に広く分布し,また,AsAも各種の食品素材に含まれるのみならず,多くの加工食品に添加・使用されている.今回は,すでにAAmの生成が確認されている各種のAsn含有モデル反応系を用い,その反応系に対するAsAの添加効果を調べると...
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Veröffentlicht in: | ビタミン 2006/03/25, Vol.80(3), pp.164 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【目的】アスパラギン(Asn)とグルコース(Glc)との反応によりアクリルアミド(AAm)が生成することが報告されている1).AAmは多量に摂取するとがんを誘発する可能性があることが指摘されており,その生成抑制・阻止に向けて世界中で研究が進められている.このAAmの生成にはアスコルビン酸(AsA)が関与する可能性も指摘されているが,その詳細は不明である.Asnは多くの食品中に広く分布し,また,AsAも各種の食品素材に含まれるのみならず,多くの加工食品に添加・使用されている.今回は,すでにAAmの生成が確認されている各種のAsn含有モデル反応系を用い,その反応系に対するAsAの添加効果を調べると共に,AsnとAsAおよびその酸化生成物であるデヒドロ-L-アスコルビン酸(DHA),2,3-ジケト-L-グロン酸(DKG)との反応によるAAm生成の可否,さらに,これらの反応におけるシステイン(Cys)の添加によるAAmの生成抑制等につき検討した結果について報告する.【方法】DHAはAsAを室温下,酸素通気により酸化して調整し,さらに,得られたDHAの加水分解によりDKGを得た.反応は水溶液(0.5Mリン酸緩衝液,pH6.5)中で行い,0.1MAsnに等モルのAsA,DHA,DKGをそれぞれ加え,100℃または160℃で1時間加熱した.またAAmの定量は,13C標識AAmを内部標準に用い,GC/MSにより行った.【結果・考察】その結果,Asn-AsAは100℃ではAAmはほとんど生成せず,160℃でもAsnに対するAAmの生成量はおよそ10ppbであった.しかし,DHAは100℃でおよそ30ppb,DKGはおよそ200ppbとAAmの生成量は増大した.またこれら反応液にCysを添加することで,AAmの生成量はDHAの場合は,およそ40%減少,DKGの場合では90%減少した.これまでに,Asnとの反応においてGlcよりもAsAの方がAAmを4倍以上生成したという研究報告があったが,本研究ではGlcよりも生成量は大幅に低いことが確認された.これらの結果により,AsAは高温加熱条件下での反応により,酸化生成物のDHA,DKGを生じることでAAmの生成を促進するのであり,AsAそのものがAAmの生成を直接的に促進する可能性は極めて低いことが明らかになった.文献1)D.S.Mottram et al.,(2002)Nature 419,448〔コメント〕橋詰直孝委員 アクリルアミドは神経障害や皮フ炎を起こす物質です.ポテトチップ等で口から入ると臨床的には大変な問題と考えます. |
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ISSN: | 0006-386X 2424-080X |
DOI: | 10.20632/vso.80.3_164_1 |