5.核マトリックス画分に抽出されるXRCC1について(第403回ビタミンB研究協議会研究発表要旨,ビタミンB研究委員会)

XRCC1(X-ray repair cross-complementing gene 1)は哺乳類細胞において塩基除去修復過程で働く複数のタンパク質と相互作用し,それらの足場として修復の効率化に寄与していると考えられている.XRCC1抗体を用いた細胞の免疫染色によって,XRCC1は核内にドット状に存在することが観察される.しかし,その存在様式の具体的な機能についてはわかっていない.我々は,CHO細胞を用いて分画抽出を行い,XRCC1タンパク質が核の可溶性画分のみならずいわゆる核マトリックス画分にも存在することを見出した.一方,XRCC1と相互作用するPARP,Polβ,APE1は主に核可溶性...

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Veröffentlicht in:ビタミン 2006/03/25, Vol.80(3), pp.144-145
Hauptverfasser: 堀内, 三郎, 高浪, タカ子, 久保田, 美子, 清水, 新司
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:XRCC1(X-ray repair cross-complementing gene 1)は哺乳類細胞において塩基除去修復過程で働く複数のタンパク質と相互作用し,それらの足場として修復の効率化に寄与していると考えられている.XRCC1抗体を用いた細胞の免疫染色によって,XRCC1は核内にドット状に存在することが観察される.しかし,その存在様式の具体的な機能についてはわかっていない.我々は,CHO細胞を用いて分画抽出を行い,XRCC1タンパク質が核の可溶性画分のみならずいわゆる核マトリックス画分にも存在することを見出した.一方,XRCC1と相互作用するPARP,Polβ,APE1は主に核可溶性画分に存在し,LigIIIαは核可溶性画分と核マトリックス画分に存在した.過酸化水素によってゲノムDNAに酸化損傷を誘発すると,核マトリックスに存在するXRCC1が増加し,これに依存してLigIIIαの核マトリックス画分の量が増加した.これらのことから我々は,塩基除去修復はXRCC1に依存した核マトリックス上の機能複合体で進行すると考え,現在これを検証している,〔論議〕上田委員 一本鎖DNA修復タンパク質の一つであるXRCC1(X-ray Repair Cross Complementing 1)を不溶化する因子がリン酸化である可能性はありますか.また,そのリン酸化をする酵素がDNA損傷で活性化するDNA依存性プロテインキナーゼである可能性はありますか.堀内委員 XRCC1が不溶化する因子として,一番可能性の高い修飾は,リン酸化と考えています.不溶化画分5(F5)にみられるXRCC1の2次元電気泳動による解析結果は,F2よりも陽極側にシフトしており,リン酸化が予測される結果となりました.現在,TOF-MS(トフマス)分析でさらに解析中です.リン酸化をする酵素として,DNA依存性プロテインキナーゼの可能性が高いと思いますが,現在,そのエビデンスはもっていません.
ISSN:0006-386X
2424-080X
DOI:10.20632/vso.80.3_144_2