6.共役リノール酸は肥満糖尿病マウスのアディポネクチンとレプチン産生を低下させインスリン抵抗性を悪化させる(pp.416-421)

食餌中に共役リノール酸(CLA)を添加すると, 抗がんや抗肥満などの好ましい効果が出ることが各種の動物実験で報告されているが, その一方でマウスではインスリン抵抗性や脂肪肝が誘発されることも知られている. 本研究では, CLAによるインスリン抵抗性誘発に関与する因子を明らかにするために, 三種類のモデルマウス(正常C57BL, 軽度肥満糖尿病KK, 重度肥満糖尿病KKAy)を用いて, インスリン感受性に関与するとされている幾つかのアディポサイトカインのmRNA発現と血中レベルを測定した. 0.5%CLA油を添加した餌を4週間与えると, 白色脂肪組織重量の減少, 中性脂肪の過剰蓄積を伴った肝臓肥...

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Veröffentlicht in:ビタミン 2005, Vol.79 (7), p.348-348
Hauptverfasser: 大橋敦子, 松下由紀子, 柴田治樹, 木村和弘, 宮下和夫, 斉藤昌之
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:食餌中に共役リノール酸(CLA)を添加すると, 抗がんや抗肥満などの好ましい効果が出ることが各種の動物実験で報告されているが, その一方でマウスではインスリン抵抗性や脂肪肝が誘発されることも知られている. 本研究では, CLAによるインスリン抵抗性誘発に関与する因子を明らかにするために, 三種類のモデルマウス(正常C57BL, 軽度肥満糖尿病KK, 重度肥満糖尿病KKAy)を用いて, インスリン感受性に関与するとされている幾つかのアディポサイトカインのmRNA発現と血中レベルを測定した. 0.5%CLA油を添加した餌を4週間与えると, 白色脂肪組織重量の減少, 中性脂肪の過剰蓄積を伴った肝臓肥大, 高血糖と高インスリン血症, インスリン感受性低下が惹起された. レプチンの脂肪組織mRNAと血中レベルは, C57BLよりもKKとKKAyのほうが高かったが, アディポネクチンレベルは逆であった. CLAを摂取すると, レプチンとアディポネクチン, レジスチンのレベルが低下した. 一方, 腫瘍壊死因子α mRNAはCLA摂取で上昇した. レプチンとアディポネクチンはインスリン感受性を増強するのに対して腫瘍壊死因子αは弱めるとされているので, 今回の結果から, CLAがこれらのアディポサイトカインの産生を変化させ, インスリン抵抗性を誘発したものと思われる.
ISSN:0006-386X