4. 動脈硬化と葉酸(平成16年度 第1回日本ビタミン学会市民公開講座「健康・美とビタミン」)

葉酸は水溶性ビタミンB群に属し, その欠乏により巨赤芽球性貧血という病気が起こることで知られている. 植物性, 動物性を問わず多くの食品に含まれている. 1日の必要量は170~200μgと言われている. 葉酸はDNAの構成核酸であるチミンの生合成に不可欠であるほか, 含硫アミノ酸のホモシステインをメチオニンに転換する時にも補酵素として必須である. 1990年ごろから欧米において高ホモシステイン血症が冠動脈狭窄症(心筋梗塞や狭心症)や脳血管疾患と関連があるという研究が多くなされるようになった. また高ホモシステイン血症の原因として血中葉酸の低値が関係しているという報告も相いついでいる. さらに葉...

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Veröffentlicht in:ビタミン 2005/07/25, Vol.79(7), pp.342-343
1. Verfasser: 田口, 博國
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:葉酸は水溶性ビタミンB群に属し, その欠乏により巨赤芽球性貧血という病気が起こることで知られている. 植物性, 動物性を問わず多くの食品に含まれている. 1日の必要量は170~200μgと言われている. 葉酸はDNAの構成核酸であるチミンの生合成に不可欠であるほか, 含硫アミノ酸のホモシステインをメチオニンに転換する時にも補酵素として必須である. 1990年ごろから欧米において高ホモシステイン血症が冠動脈狭窄症(心筋梗塞や狭心症)や脳血管疾患と関連があるという研究が多くなされるようになった. また高ホモシステイン血症の原因として血中葉酸の低値が関係しているという報告も相いついでいる. さらに葉酸の体内での変換をつかさどる5メチルテトラヒドロ葉酸還元酵素の先天的欠損のある人は高ホモシステイン血症をおこしていることが多いことも報告が多い. 葉酸が低下して血中のホモシステイン値が上昇すると, 血液凝固因子, 血管内皮細胞や血管平滑筋が影響され, 動脈や静脈の中に血栓が形成されることが明らかにされている.
ISSN:0006-386X
2424-080X
DOI:10.20632/vso.79.7_342