3.酸化的ストレスによる骨代謝とビタミンK(第302回脂溶性ビタミン総合研究委員会研究発表会要旨)
骨粗鬆症は多元的要因により発症する疾患であるが, 最近, 酸化的ストレスとの関連性が指摘されている. しかしながら, その作用機序についてはいまだ十分に明らかにされていない. 今回, 我々は酸化的ストレスを蓄積し, 骨量減少が進むと考えられているWistar系閉経ラットに酸化的ストレス(乳酸鉄投与)を負荷し, 骨代謝と酸化的ストレスならびにビタミンK(K)との関連性について研究した. 酸化的ストレス(乳酸鉄投与)は血清TGF-α1, 尿中8-OHdGの上昇, 血清glutathione peroxidase活性の低下を誘導するとともに, 骨吸収マーカーである尿中デオキシピリジノリン, カルシウ...
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Veröffentlicht in: | ビタミン 2004/03/25, Vol.78(3), pp.171 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 骨粗鬆症は多元的要因により発症する疾患であるが, 最近, 酸化的ストレスとの関連性が指摘されている. しかしながら, その作用機序についてはいまだ十分に明らかにされていない. 今回, 我々は酸化的ストレスを蓄積し, 骨量減少が進むと考えられているWistar系閉経ラットに酸化的ストレス(乳酸鉄投与)を負荷し, 骨代謝と酸化的ストレスならびにビタミンK(K)との関連性について研究した. 酸化的ストレス(乳酸鉄投与)は血清TGF-α1, 尿中8-OHdGの上昇, 血清glutathione peroxidase活性の低下を誘導するとともに, 骨吸収マーカーである尿中デオキシピリジノリン, カルシウムの排泄を増加させた. 一方, 抗酸化活性を示す血中Kは著しく減少していた. 骨粗鬆症をめぐって, 酸化的ストレスとKとの関連性について考察する. 〔論議〕 浦野委員 1)鉄投与により発生するフリーラジカルにより, なぜGSHPxが低下するのですか. 2)鉄投与が酸化的ストレスになるのですか. 坂本委員 1)フリーラジカルによりGSHPx遺伝子の転写活性が抑制され, その結果, GSHPx量が低下したものと考えています. 面白いことに, 最近, Sontakke et al(Clin Clim Acta318, 145-148(2002))はGSHPx活性の低下と骨密度の低下(骨粗鬆症)が相関することを明らかにしています. 2)鉄はH2O2存在下でフリーラジカルを生成します. その結果, 酸化的ストレスを惹起します. 岡野委員 今回の乳酸鉄誘発性ラット酸化的ストレスモデルにおける, Kの破骨細胞活性抑制効果は鉄フェントン反応によって発生する活性酸素消去が主なメカニズムでしょうか. 坂本委員 酸化的ストレスが破骨細胞を活性化し, その結果, 骨吸収が促進すること, そして, VK2がその作用を抑制するものと考えています. 事実, Koshihara et al(J Endocrinology 176, 339-348(2003))はin vitroの実験系で証明しています. |
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ISSN: | 0006-386X 2424-080X |
DOI: | 10.20632/vso.78.3_171_1 |